「え、異世界……ですか? 」
「そうよ! 異世界アントワールで狼獣人の男の子とちょめちょめしない? 」
主人公希美子が激しい獣人萌え属性を持つ事を知っていて、そんな事を言ってきた異世界の女神様は、二つの世界で最も相性の良い者同士をツガイとして引き合わせるのだという。
希美子は悩んだ末にその話を受ける事にしたのだが……。
「あ、向こうに行ったらすぐにHしてね! じゃないと死んじゃうから!あ、あなた獣姦は平気? 」
「?!?!!?!」
返事をする間も無く飛ばされた先で待っていたのは「イケメン」「硬派」「筋肉」「一流冒険者」と彼女の理想を具現化したような格好良い……しかし眉間のシワが形状記憶されてる狼獣人さんだった。
口は悪いけどセックスの時は言葉少ない彼とのソレは夢のように気持ちが良くて――
狼獣人編 1.落ち人と狼獣人さん
異世界アントワールには、今宵も神に愛された者の下に落ち人が贈られる。 落ち人――愛されし者の為、神に選ばれた運命のツガイ。 彼らは、アントワールに身体を定着させる為の契りを交わさなければ死ぬことになる。 これはアントワールの人間ならば、人族...
狼獣人編 2.狼獣人さんは喋らない※
希美子、俺はお前を抱く―― そう言われた瞬間、希美子は全身が痺れたような感覚に襲われた。 呼吸が震えるように浅くなって、思考力までも奪われていく。「女神に聞いてはいると思うが、お前は俺に抱かれなければこの世界に魔力が定着せずに死ぬ事になる。...
狼獣人編 3.狼獣人さんにヘロヘロに(物理)されました※
深い、口付けだった。 希美子はすぐにその口付けに夢中になった。 好きだと自覚した男からのキスである、夢中にならない筈が無かった。柔らかな舌に絡め取られ、官能を引き出すように艶めかしく嬲られた。時折、ちゅるりと吸われては希美子の快楽が強制的に...
狼獣人編 4.狼獣人さんが開き直りました※
一方ジークヴァルトは固まっていた。 この理解不能の生き物を前に、実は何度かこういったことになっている。 しかし、そこは一流と呼ばれる冒険者としての矜持が彼にそれを許さないので直ぐに復活させてはそれを気取られないように取り繕っていたのだ。 し...
狼獣人編 5.落ち人さんは悪戯する※
希美子は、小鳥の囀りと森の朝露の湿り気を帯びたひんやりとした空気の中で目が覚めた。「……あ、れ……?」 身体はシャワーを浴びた後のようにサッパリとしていて、洗い立てのようなシーツの敷かれたベッドの上で、その心地よさに暫し微睡む……が。(な、...
狼獣人編 6.落ち人さんは申請に行く
「『落ち人申請』?」「――ああ、しとかねぇと色々と面倒だ。今ならこの王国の貴族にも神殿にも落ち人が居るらしいからな、お前が面倒事に巻き込まれる確率は……常識的に考えれば無い」 希美子とジークヴァルトの二人は、ログハウスのリビングで朝食を食べ...
狼獣人編 7.狼獣人さんの勘違い※
『コイツは足を怪我している。治療するから部屋を貸せ、それから――コイツが俺の前に現れたのは、昨日だ。……意味は、わかるな?』 歓迎すると言ったユリウスに、サクッと要求をしたジークヴァルトだったが、それを咎められるような事もなく、神殿の部屋を...
狼獣人編 8.落ち人さんのおねだり※
うっとりするような余韻の中、ソファに倒れ込んだ希美子に、ジークヴァルトは柔らかな口付けを――頰へ、コメカミへと落とした後の事だった。 希美子のソコに温かな先が宛てがわれた時、此処が何処だったかを思い出してしまった希美子が内心慌てはじめた。(...
狼獣人編 9.狼獣人さんの色に染まる落ち人さん
「な……んだ、これ……?」 今、希美子の目の前に広がっているのは地球で言う所の教会のチャペルのような空間だった。 そして、希美子の格好といえば――前世、希美子が着た覚えの無い、ウェディングドレスのようなレースがふんだんにあしらわれた純白のド...
狼獣人編 10.落ち人さんはお洋服を買いたい
あの後、希美子は来た時に着ていた服に着替え、例の布を有り難く頂いた。 ジークの魔力に染まったドレスと布を彼のアイテムボックスに彼が押し込んだ時、『や、やっぱりあるんだ……?』と希美子は顔を引きつらせた。「落ち人様の、服ですか……?今更なにを...
狼獣人編 11.狼獣人さんにお仕置きされる※
――問題が、わからねぇようなら仕方ねぇな。身を以て味わえ そう口にしたジークヴァルトは、無防備な希美子の首筋に噛み付くようなキスをした。 瞬間――ブワリと全身が粟立ち、これから始まる情事を受け入れる準備が一瞬で完了してしまう。 この世界へ来...
狼獣人編 12狼獣人さんの求愛行動
「お疲れ様でした、如何でしたか?」 婦人服店の店員さんの言葉に、希美子は顔から火が出るかと思った。 結局、最中の時ジークヴァルトはいつの間にかシレッと更衣室を亜空間化しており、いつもの浄化魔法の応用というヤツで、室内の汚れから身体や衣服の汚...
狼獣人編 13.落ち人さん、冒険者ギルドへ行く
希美子達は食後に出てきたレモンのシャーベットを食べ終えると店を出た。「ジーク、野暮用って……?何処に行くの?」「……冒険者ギルドだ」(冒険者ギルド?!あの、有名な?!) 希美子は前の世界で読んでいた小説を思い出す。冒険者ギルドと言えば、戦う...
狼獣人編 14.落ち人さんはピクニック?を楽しむ?※
希美子達が後にした冒険者ギルドの執務室で、残された二人はため息を隠そうともせずに疲れた様子で話していた。 「はぁ……ジーク君、別人みたいだったねぇ……」 「そうですね、しかし、落ち人様を頂いたと言うのなら十分説明のつく範囲内です。むしろ彼は...
狼獣人編 15.狼獣人さんは反省する?※
こんもりと膨れた布の塊から女の生脚がにょきりと生えているような間抜けな絵面に、興奮してしまっている己をさすがに変態かと思うジークヴァルト。「良い格好だ……なあ、希美子」 ぴくり、と、象牙色の滑らかな脚が揺れて、思わず喉を鳴らして嗤ってしまう...
狼獣人編 16.落ち人さんの欲しかったもの
希美子がふと目覚めた時、彼女はふわふわのクッションに横たわっていて、とても良い香りのするモフモフの毛玉を抱きしめていた。 何かとても幸せな夢を見ていた気がする。(ジークに好きって言って……ジークが、俺もって……) 微睡みの中で、胸が温かくな...
狼獣人編 17.狼獣人さんヒヤヒヤする
お風呂騒動の後、ここへ二人で住むことを決めたジークヴァルトと希美子は、さっそく巣作りを始めた。 一階はキッチン、リビングダイニングと、奥にはお風呂とトイレ。 玄関を開けてすぐにダイニングになっており、奥にキッチン――更に奥に納戸、左手のリビ...
狼獣人編 18.はじめての……お風呂?※
食後、希美子が食器を洗おうとしたところで、ジークヴァルトが下げた先からお皿に洗浄魔法をかけたので、残り物は無い。 全てジークヴァルトが平らげてくれた。 希美子が食後のお茶をと、ジークヴァルトにお湯を作ってもらい用意していると、ジークヴァルト...
狼獣人編 19.落ち人さんの悪戯ぱーとつー※
希美子は、狼の頭部を持つ二回りは大きな獣に後ろから抱き抱えられ、されるがまま揺さぶられていた。 手足はダランと垂れ床から浮き、首もカクンと据わらないような状態で、ただただ雌の穴をいっぱいに広げる逞しい雄にされるがまま、蚊の鳴くような小さな嬌...
狼獣人編 20.落ち人さんは果物に夢中
「ジーク!あれ、昨日切ってくれた桃?」「あ?」 朝食を軽く済ませた後、希美子達は噴水前広場へ来ていた。 朝からちょっと『元気』してしまった為に、昼までそう時間が無さそうだったので。 ちなみにヨーグルトの様なものに適当な大きさに果物を切って乗...
狼獣人編 21.狼獣人さん真っ黒け
「落ち人、だと?」 頭上から降って来たその言葉を頭で理解した瞬間、希美子はバッと自分の頭部を確認した。(え?!ふ、フード被ってるよね?!な、なんで?!) 希美子がフードを抑えながらクエスチョンマークを飛ばしていると、ジークヴァルトの手の平が...
狼獣人編 22.落ち人さんは立ち尽くす
「おおおおおおおっ『落ち人』様っす!!本当に『落ち人』っす!!『落ち人』様がチューして……いいえ!見てないです見てないですよ?!見てないですけど生チューはじめて見たっす!!あ、見てないですよ?!!」 ……リリーは、嘘をつく時だけ敬語が綺麗に...
狼獣人編 23.落ち人さん貴族御用達に行く※
あの後、終始希美子は三人に翻弄される事になった。 何分希美子の服を作る為の話し合いな訳で……疲れたとも言えず、リリーに仕事をたんまり渡す事が目的とも言われた手前、そんなに沢山作らなくてもとも言えず……結果。「うぅ……ジーク……ジークぅ……」...
狼獣人編 24.落ち人さんと落ち人さん
あの後、少し休んだ希美子達は再び噴水広場へ来ていた。 昼前に果物を購入したアマーリアの引き馬車は既に撤去されていて、今は惣菜の店がその場所を陣取っていた。 精神的に疲れていたはずの希美子は、『食後の運動』ですっかりストレスを軽減されたその事...
狼獣人編 25.レイアとギルドと落ち人さん
レイアの冒険者ギルドはイスターレ王国の中に置いて、その立派な石造りの建物自体はとても大きくはあれど、高ランクの冒険者があまり寄り付かない事でも有名だった。 この領地を治めるバッハシュタイン辺境伯家が武門である事に起因する。 西側に位置する獣...
狼獣人編 26.落ち人さんは狼獣人さんが好き
ゴットハルト・バッハシュタインの名代を名乗った男は、件の領主の三番目の息子クリストハルト・バッハシュタイン。 このイスターレ王国の騎士団長だった。「はじめまして落ち人様方、私はクリストハルト・バッハシュタイン――以後お見知り置きを 」「は…...
狼獣人編 27.狼獣人さんと騎士団長
(……クソが) ジークヴァルトは円卓の下で希美子の手を握りながら、悪態をついた。 少し震えた希美子の手が、彼女がどんな思いで今の言葉を口にしたのかを伝えてくる。 自分が行けば、自分にもしものことがあれば、希美子自身も死ぬことになる。 魔力定...
狼獣人編 28.狼獣人さんリベンジを誓う※
「副ギルド長……イストール氏の報告書がこちらです」 希美子達は再び噴水広場へ来ていた。 そろそろ夕飯時とあり、広場には沢山の屋台が並び始めている。 中央の噴水の周りにはテーブルセットが置かれ始め、希美子とジークヴァルト、妙子とユリウスはまだ...
狼獣人編 29.落ち人さんとペットさん?
ジークヴァルトがいつものように、希美子へ回復魔法と洗浄魔法をセットでかけ終えてから、ローブを着せて抱き上げる……が、時空結界の外が騒ついている事に気が付いた。「ねぇ、アレなぁに?」「知らねぇよ!あんなもん初めて見た!」 ジークヴァルトは希美...
狼獣人編 30.狼獣人さんと狼さん
希美子達はホワイトドラゴンのシロちゃんに乗って夕焼けの空を西へ進んでいた。『確かに死竜の気配があるわ』 そう言って大空を凄まじい速さで飛んでいくドラゴン。 けれども希美子が頰に受ける風は自転車に乗っている時みたいな気持ちが良い程度のもので…...
狼獣人編 31.狼獣人さんが媚薬?※
――ねえ、私。希美子ちゃんを護るって言ったよね? そう口にした妙子の言葉にジークヴァルトは眉間の皺を深くした。「おい、我が儘言うな。時間が無い」「私かユリウスが居れば、蘇生ができるんだよ!?何かあったとしても!」 妙子の中で、自分が希美子を...
狼獣人編 32.ジークヴァルト・アードルング
イスターレの夕焼け空がその表情を変化させていた。 太陽はその姿を隠し、今はその輝きの名残だけが余韻を残して大空に星がまたたきはじめている。 あの後、目を覚ました希美子はひとしきり自分の仕出かした事に身悶えて恥ずかしがって涙目になっていたが、...
狼獣人編 33.子狼獣人さんと街の老人
ジークヴァルト・アードルングは黒狼族の族長の息子として生を受けた。 厳しく厳格な父と優しい母、お人好しな兄。 そしてそんな家族に頼りきりで何かあれば直ぐに泣きついてくる群の獣人達。 狩に出たのに獲物が捕れなかった。 雨が続いて退屈で死にそう...
狼獣人編 34.狼獣人さんと魔王様
ジークヴァルト・アードルング、その名前を久々に彼は耳にした。 アードルングは代々黒狼族の族長一族が受け継いで来た名前、名乗れば必ず足は付く……何よりジークヴァルトはもうあの群れには帰らないのだから必要のない『記号』だ。 冒険者登録する時に『...
狼獣人編 35.落ち人さんと強い狼獣人さん※
「あの、ジ……」「黙ってろ、余裕がねぇ」 ピシャリと言われて希美子は黙ったが、耳元に彼の荒い呼吸が感じられて一気に劣情が掻き立てられた。 あのジークヴァルトが、希美子を求めて余裕を無くしている。 黙っていろという事は、どうにか自分を落ち着か...
狼獣人編 36.レイアの守護神バッハシュタイン
冒険者ギルドの地下室に青白い魔法陣が浮かびあがって、警備していたギルド職員の一人が事務作業の手を止めて直ぐ傍に控えた。「おかえりなさい、イストール副ギルド長」「はい、ただ今戻りました。進捗はいががでしょう?」 魔法陣に姿を現したのはこのレイ...
狼獣人編 37.狼獣人さんと落ち人さんと木苺
結界のすぐ先に巨大な『水柱』が出現した―― 水柱なんて生温い、コレはもう壁だ。 東壁に沿うようにして、その倍はある高さにソレは伸び上がり一瞬の後――大波のように魔物達を飲み込んだ。「なっ……な、な……?!」 腰を抜かして目の前の惨状に混乱し...
狼獣人編 38.それぞれの戦い
「南と北に行かせるな!戦線を維持せよ!!」 騎士団長クリストハルトの怒号のような指示が飛ぶ。 それと同時に、彼の振るったハルバードから閃光が飛び、向かって来たアンデッド達を鎧袖一触に討ち亡ぼすが後から後から湧いてくるアンデッド達は再び彼へ間...
狼獣人編 39.白狼とそのツガイ
――戦場に、狼の遠吠えが響き渡った。「えっ?!うぉ?なんだ?!」 バッハシュタインの私兵から借り受けた白い狼の背に乗り、戦場を駆けながら回復魔法を行使していたヨナスが相棒から振り落とされた。『愛し子が呼んでいる、貴様は街へ戻れ。愛し子の邪魔...
狼獣人編 40.騎士団長さんと落ち人さん
「紗枝さん! 紗枝さん待って! 」 北の戦場に希美子達が到着した時、信じられない光景が広がっていた。「なに……これ、何?!」『チッ……』 聳え立つ円形の結界の中、魔物達がすし詰めにされ、唯一の出入り口と思われる場所へ紗枝が身の丈以上もあるハ...
狼獣人編 41.白狼と猫の目は誤魔化せない
「……ん、もう大丈夫 」 クリストハルトの胸に乗っていた黒猫がぴょんっと飛躍して地に降りてそう言った。 魔王がレイアに到着して直ぐに彼らはジークヴァルトの魔力に視線を移し、クリストハルトが倒れているのを見ると直ぐに来て黒猫の番が蘇生で回復し...
狼獣人編 42.フェンリルの護り
「クッ! あともう少し――! あともう少しだったものをッ!! 」 レイスの魂の欠片は樹海の奥深くで小さな黒い光となった身を震わせながら憤っていた。 レイアのスタンピードを確実に成功させる為、何重にも張った計画の最終局面で『亀裂』を使う為に分...
