希美子は、狼の頭部を持つ二回りは大きな獣に後ろから抱き抱えられ、されるがまま揺さぶられていた。
手足はダランと垂れ床から浮き、首もカクンと据わらないような状態で、ただただ雌の穴をいっぱいに広げる逞しい雄にされるがまま、蚊の鳴くような小さな嬌声を時折上げて。
まるで内壁を全て揺さぶられるようなその抽送は、希美子の身体全てを痺れさせて快楽以外の感覚を消し去った。
「……じ、……くぅ……すきぃ……す、き……」
己を挿し貫く、獣の肉に身体を浮かされ、足のつま先が揺れている。
「……ッキュ……ン、……うっ……ァ……ッ」
濡れた毛並みが背中全体に触れて気持ちがよかった。
獣の大きな手に支えられる、支配される感覚が安心できた。
「きもち……ぃ……じぃく……ぃぃ……」
あまりの気持ち悦さに視界が滲む、希美子は静かに涙を流しながら、この最高の快楽にただただ浸る。
「っあ――イッ……くぅ……――ッ」
何度目かの絶頂、いっぱいに広げられた雌の穴は、それでもジークヴァルトの雄を締め付けようとする。
健気なツガイのソレが愛しい。
「ァ――ァッ――ッ!!」
また、絞められた家畜のような声で鳴いた。
人族から見れば異形とも言えるこの身に抱き込まれて、身を委ねて、与えられる快楽に従順なツガイの姿に興奮しない雄などいないだろう。
「ッ――!」
穿つ深さを変え、抽送を速くしていく。
ガクガクと揺れる顎を、片手で首を支えてやることで守る。
下腹を押してやると、ツガイの腹のなかにある自分の滾りを感じた。
「ジッ……く!ソレ……ぁアアァ――!!」
柔らかく、ぐにぐにと押しながら抉るように抽送を繰り返すと力なくダランとしていたツガイの脚が、よじるように逃れるような仕草で最高の快楽をジークヴァルトに与えてきた。
今更逃れられるものか、既にお前は俺のものなのだから――そんな風に圧倒的上位のまま、この宴の終わりに向かって獣が哀れな雌に己の欲を何度も叩きつけ――――
――ゴボリッと、不自然な音がしたかと思うと、雌の穴を塞ぐように根元にコブが膨れ上がった。
「――――ッ」
声にならない悲鳴を上げる雌の中へ、最奥へ、大量の白濁がびゅうびゅうと叩きつけられる。
「――っ――ッ!!」
まだ……まだ、叩きつけられる。
抑えていた腹が気持ち膨れ上がり、獣は満足そうに喉を鳴らした。
――
――――
湯を入れ変えたバスタブに、狼の姿のまま希美子と繋がったジークヴァルトは腰掛けていた。
未だ絶頂の余韻に浸るツガイを撫でながら。
「ふ……うン……ふ、ぁ……ぁ……」
マッサージするように、乳房を柔らかく揉み、湯の中では、尻尾を揺らして先の毛で、ぷくりと膨れたツガイの可愛らしい豆を可愛がっている。
空いた掌は、愛おしいものに触れるようなタッチで少し膨れた彼女の腹を撫でていた。
時折、獣の鼻先で彼女の頰を撫でてやると、堪らないというようにうっとりする様子が愛おしい。
スルスルと、腹から花園に滑らせた指で彼女の好きなところを捏ねる。
爪を出さないように、慎重に。
「じぃ、く……」
「…………なんだ?」
出来るだけ、優しく聞こえるように努力したが、獣の声帯は唸るような声音を出した。
「幸せ……だよって……伝え、たく……なった――ァッ!」
トロリと蕩けるような顔でうっとりとそう言ったツガイの芽をぐにぐにと揉んでやる。
「あっ……あ、ァアっ……また――」
腹一杯に含んだジークヴァルトを再び締め付けて、希美子は軽く果てた。
無意識に、グルルっと喉を鳴らして希美子の後ろから首筋に獣の顔を擦り寄るように埋めると、擽ったそうな声で幸せそうに笑うツガイ。
「疲れたなら眠れ」
「でも……」
「……大丈夫だ」
ジークヴァルトがそう言って大きな手で希美子の頭を何度か優しく撫でていると、次第に寝息が聞こえてきた。
ジークヴァルトは希美子を起こさないように、繋がったまま静かにバスタブから上がると、魔法で自分の毛並みを乾かし、希美子をアイテムボックスから出した布で丁寧に拭いていき、髪の毛は風魔法で丁寧に乾かした。
最後に仕上げの洗浄魔法を軽くかけ、コブが出来てる為ちょっとやそっとじゃ抜けないソレをそのままに、希美子を抱き上げ寝室へ向かった。
ジークヴァルトが一歩足を踏み出すごとの微かな揺れに、彼のツガイはどうしても感じてしまうらしいが、ベッドの上までは我慢してもらおうとそのまま歩を進めた。
狼と繋がったまま、抱き抱えられ、寝室に運ばれる人族の娘。
客観的に見ればどんなものかと、ジークヴァルトの獣の顔に自嘲が浮かぶ。
寝室のベッドへ、ツガイと静かに横たわり再び後ろから抱きしめる。
昨日もこうして、ジークヴァルトはいつのまにか眠っていた。
腕の中の、柔らかくて良い香りのするツガイのせいで。
ジークヴァルトの腕の中で安らかな寝息を立てたりするから、その音に心地よさをどうしても感じてしまうから。
獣の顔でも形状記憶されている眉間のシワがだんだんと薄くなっていくと、ジークヴァルトは、静かに眠りに落ちたのだった。
――
――――
――――――
朝、希美子が目を覚ましてまず思った事は……
(また、挿ってる……ジークの、が……)
そして、どうしても頭が理解した途端に キュンッと締め付けてしまって……自己嫌悪とまではいかないものの、少し反省したいなと思う。
そうっと、後ろを窺えば――ジークヴァルトは再び人族の姿になっていた。
これは子どもの頃から人族の街へ紛れ込むために、寝ている間もその姿を保つという事を続けてきた彼の癖でもあった。
(うん、やっぱりかっこいいや……)
切れ長の瞳と、それを縁取るまつ毛――前髪が少し目を隠す黒くて短い髪に、薄めの唇。
手入れしている訳ではなさそうなのに整った眉毛。
希美子はその全部が好きだった。
さすがの女神様である。
このアントワール中で一番希美子の好みの男だろう彼と出会わせてくれた。
お見合いと言うと少し語弊があるが、敢えて言う。
見事なお見合いおばちゃんっぷりだと。
見た目だけじゃない、知れば知るほど彼の優しさや不器用さが愛しくなって溢れてくる。
口はあんなに悪いのに、気が短いどころか彼は長い方だと思う。
希美子の事をよく見てくれているのも知っている。
(寝顔、可愛いんだよなぁ……)
今日は随分眉間の皺が薄いように思える。
(うう……見れば見るほどカッコいい……この人、私の旦那様なんですよ……?)
「うぐっ……!!」
心の中で言っただけの自分の発言に大ダメージを受けて、顔を手で覆い隠して悶える希美子。
そして、少し感じる胸のモヤモヤに気付いてしまう。
(ほんっと、私ばっかりときめいてる気がするんだよね?!なんかアレの時も基本的に余裕な感じだし……ぐっ……)
今度は情事を思い出して悶える希美子。
(アレだ、ちょっと、アレだ……ジークを驚かしてみたい。こう、大人の女の色気ってのが私にもあるって所をだね……?)
「……よし!」
小さく気合を入れてみた。小声である。
希美子は、ジークヴァルトと繋がったソコが抜けてしまわないよう、慎重に起き上がると、ズルズルと脚を不器用に動かしながら――
――ジークヴァルトの上に跨った。
(ふ……フフン!)
希美子さん、ドヤ顔である。
――が、しかし。
(見下ろした先にイケメンッ――ッ!!攻撃力たっか?!!)
早くもカウンターを食らっていた。
希美子はひとしきり悶えた後、気持ちを入れ替えてジークヴァルトの鍛えられた腹筋に両手を置くと、慎重に腰を揺らし出した。
(あんまりやった事ないんだよね……?こう……?いや、こうかな?……うーん?)
「…………………………おい」
(いや、こう……うん、コレがいいな。前後に揺らす感じの方が上手くできそう!)
「……おい、希美子」
「ちょっと待って、今忙し…………え?」
「随分と楽しそうじゃねぇか」
慣れない騎乗位に、やり方がよく分からず集中していた希美子は、思わぬ所から声をかけられその動きを停止した。
……振り向き、確認するのが怖い。
「え……と?っきゃん?!」
振り向くのを躊躇していると、下からズンッと突き上げられて思わず悲鳴をあげた。
「きゃっあっ!あんっ?!ちょ、まっ……待って?!」
「こう言うのはな、身を以て味わえ。それから覚えろ」
上に居た筈の希美子が混乱している間に一方的に揺さぶられはじめた。
ジークヴァルトはそれだけじゃ気が済まないとばかりに希美子の腰を両手で掴むと一層激しく揺さぶりはじめる。
「あっ!あん!深っ……ダメ!も、だめぇ!」
朝一だというのに、昨日ジークヴァルトが中へ出したものが溢れて出て来て希美子のソコはヌルヌルのぐちょぐちょだった。
「やっ、きもちい!から!もっ――ああああっ!!」
「……早すぎだ、まだいけるな?」
「ひゃっ?!あ、ああ?!まだ、まだだめぇっ――」
少しの悪戯心には割に合わない程のしっぺ返しを食らった希美子が、彼の上から解放されたのはそれから3回ほどイかされた後の事だった。