華の宴〜騎士団長クリストハルトの過去編〜

 バッハシュタイン家三男クリストハルト・バッハシュタイン伯が王都に所有する屋敷、その物置き部屋を使って、男女二人が睦み合っていた。

「ああっ気持ちいい!もっと、もっとしてぇ――!」

「奥様っ!なんて、なんて美しい――ああッ止まりません、ローレンスのっローレンスの腰が止まりませんッ!」

 バッハシュタイン家の三男、クリストハルトに嫁いできた男爵家の次女ヘレナは生まれつき魔力回路が不安定で、身体が弱く、成人までは生きられないとされてきた。

 ――既に医師に予告された寿命は過ぎている。

 その為、何処へ行っても腫れ物に触れるように扱われて来た。

 ヘレナはそれが不満だった。

「もっと、もっと激しくして!あの人じゃ物足りないのよ!」

「旦那、さまは?どのようにお抱きになるので?……アッ」

 ヘレナの夫、クリストハルトはそれはもう優しくヘレナを抱いた。

 しかし過ぎた快感を与えるような事は無い。

 ヘレナの身体に負担を与えないように、ある程度の快楽を与え、ゆっくりと十分にアソコを解す時だって、快楽と言うよりも解す事だけが目的の様な動きだ。

 そしてヘレナの中へ入って、痛みの無いちょうど良い深さで抽送し、果てる。

 ヘレナは夫以外は目の前のローレンスしか知らないけれど、夫は早いのかもしれないとも思っていた。

 一方ローレンスは使用人でありながら、この家の長であるクリストハルトの妻に求められ心も身体も最高に気持ちが良かった。

 この女に取り入って執事長になってやる、金も思いのままになるかもしれない。

 そういった野心から近付いたのだったが、存外この女とのセックスは満足のいくものだった。

 あの、王国騎士団長の性器よりもローレンスのコレが良いのだと目の前の雌が言う度、ローレンスはその優越に転げ回って笑い出したくなる。

 金も地位も名誉もある男より、自分の方が上になれるものがある。それが、他でもない雄の象徴だと言うのだ。

「嗚呼――気持ち悦いですよ奥様、ローレンスの杭は奥様の穴が一番好きですよ」

「ヘレナの!穴も、ろれんすのッア!杭が一番しゅきぃい――!!」

「誰よりも、愛しております奥様……もちろん、『妻』よりも」

 キュンッとヘレナの蜜壺がローレンスを締め付けた。

「わ、私も!ローレンスがいいっ!あの人よりも!」

(ちっ、馬鹿女が……)

 ローレンスは以前からヘレナの『あの人よりも愛してる』という言葉が引き出せずに苛立った。

 ローレンスはもちろん目の前の雌など愛していない。バッハシュタイン分家のこの伯爵家で奥様に覚えめでたくなれば良い目が見れるだろうと近づいたに過ぎない。

 今では美しく卑しい性処理用の穴だ。

「ア――はげし……アァッ――」

 ローレンスが猛然と腰を振り出したその時――物置の扉が開いた。

 鍵を閉めた筈なのに壊れていたかと舌打ちしたい気持ちで振り返ったローレンスは、その先に見たものに顔色を真っ青にした。

「よい、続けよ」

 そう言って入って来たのはヘレナの夫、クリストハルト・バッハシュタインだ。

 女性達に黄色い声を上げられている甘いマスクに微笑みを浮かべたまま、ヘレナとローレンスの繋がりがよく見える位置にあった膝掛け椅子へ座ると、片肘をついて二人を眺めた。

 顔を青くするローレンスとは逆に、ヘレナはある一点を見つめて心が高揚した。

 クリストハルトの雄が勃っている。

 ヘレナは挿入前に彼が自分で扱く以外で彼がソコを勃たせているのを見た事がなかった。

 彼は作業のようにヘレナを抱くだけで、興奮する事など一度として無かったのだ。

 悲しかった、辛かった。

 自分は彼にとって女では無いのだと。

 だから逃げたのだ。私だってそうなんだと、自分だってクリストハルト以外では「こんなに感じる事が出来る」のだと。

「どうしたローレンス、腰が止まらぬと言っていたではないか。貴様の妻よりもヘレナの具合は良いのだろう?私に遠慮はいらん、使うが良い」

「で、ですが……」

「やれと言っておる!」

 そこまで言われては止めることもできず、ローレンスは抽送をはじめた。

 はじめはゆっくりと、しかし次第に激しく。

「ああっローレンス気持ちいいわっローレンス好き、ローレンスだけよ!」

「っ!?」

 この女は本物の馬鹿かと、ローレンスはいっそ怒りを覚えたがその雄はそんな彼の意に反して先ほどまでよりもギンギンに力を持っていた。

 そして、それはクリストハルトも。

 クリストハルトは病弱なこの妻を娶った時、彼女を大事にしてやらねばと思ったものだ。

 少し人と価値観や倫理観がズレている自分にクリストハルトは随分昔から気付いていたから。

 妻という近い距離になる女性を無意識にでも傷付ける可能性があると、そう思って心に距離を置いた。

 女は傷付けると面倒くさい。その程度の感覚だったが。

 夜の営みも、子どもさえ出来れば良いだろうと、ヘレナの身体に負担の無い抱き方をした。

 この体の弱い女に子を産む体力すらあるのか怪しかったが。

 しかしある時家令の報告で二人の関係を知ったクリストハルトははじめて自分の妻に興味をもった。

 二人の、激しく求め合う様を見た。

 身体の弱い我妻が、好き勝手に乱暴に欲を叩きつけられているだけなのに大層喜んでいる卑しい姿を見た。

 そしてクリストハルトは思う。

 この私があれだけ気を使い大切にしてやっていたと言うのに、と。

「ふふふ……くっ……くははははは!!」

 慣れない事をした、その結果が滑稽過ぎてクリストハルトは笑いが止まらなかった。

 胸を掻き毟るようなこの感情は何だろうか?もしやコレは怒りという感覚だろうか?

 それとも嫉妬だとでも言うのか?

 この、腹を擽られるような感覚が?

 自分は今、楽しくて仕方がないというのに?

 そしてクリストハルトは何故かとてつもない興奮を覚えた。

 生まれて初めて処理目的以外で自慰をし、吐精に至った。

 自分が大切にしていた妻が他の男に適当な抱かれ方をして善がっているを見ながら。

 クリストハルトは中々にこの男を気に入った。

 妻に言わせる言葉がとても良い。

 クリストハルトよりも気持ちが良いだとか、クリストハルトでは満足出来ないであるとか。

 妻のその言葉に、クリストハルトはとても興奮した。

 いっそのこと、あの男の前で妻を犯してやったらどんなに気持ちが良いだろうと思う。

 妻は嫌がってくれるだろうか?

 その想像は、クリストハルトを今までで一番興奮させた。

 存外、自分は妻に恋をしているのだなと自覚したのはこの頃だ。

 随分と他人には理解され難い、彼の恋慕の情。

 恋い慕う相手が妻という幸運に、クリストハルトは昏い笑みを浮かべた。

「アァ――――ッ!」

 ヘレナが達し、ローレンスが外へ出した。

 すると、ヘレナは強い力で腕を引き寄せられ床に組み敷かれた。

「あっ!何を?!」

 快楽の余韻に震える妻のドレスを、クリストハルトは力に任せて乱暴に剥いていく。

 ヘレナはクリストハルトのその行動の意味を捉え損ねていた。しかし

 裸にされた彼女の脚を正面から割り、先程までローレンスが入っていたその場所に感じたこともない滾りを打ち込まれ――

「好いた男の前で、別の男に犯される気分はどうだ?」

 耳元に囁かれたクリストハルトの言葉を聞いた時、ヘレナは瞬時に理解した。

 夫の興奮と、その理由を。

 ヘレナは初めて満たされる、そしてこの気持ちをずっと感じていたい、逃したく無いと思った。

 ならば、やる事は決まっている。

「い、嫌ぁ!やめてッローレンス、ローレンス助けてぇ!」

「嫌とはおかしな事を言う!夫婦では無いか!」

 ヘレナは一心不乱に暴れて嫌がってみせた、クリストハルトは嫌がる妻を力ずくで組み敷いて興奮のまま本能に任せて激しく腰を振りはじめた。

「ははははっよう締まるわ!お前は好きでも無い男の雄をこんなに欲しがる女だったのか?!淫乱め!」

「嘘よっ気持ち悦くなんか――アァ!!」

「ここか!ここが悦いのか?ほれほれほれほれ!」

「イヤァ!!アンッ!アンッ!アンッ!アンッ!ローレンス!ローレンス助けてぇ!」

 何事にも心乱されることの無い夫の姿を見てきたヘレナは最高に興奮し、気持ちよすぎておかしくなりそうだった。

 あの夫が、自分を組み敷いて夢中で腰を振っている。

 いつも涼しい表情をしている彼が、興奮のあまり我を忘れたような言葉をヘレナに浴びせかける。

(ああ――熱い、硬い、気持ちがイイ――……もっと、もっとして!)

 クリストハルトはヘレナの身体を掬い上げ、背面座位の形を取ると、ローレンスに向けてヘレナの脚をおっ広げた。

「呼ばれているぞ、ローレンス。豆でも食らってやれ」

「ッそんな――」

「ヤメテ! ローレンス見ないでぇ! 」

「――やれ! 」

 クリストハルトの怒鳴り声にローレンスの行動は早かった。

 慌てたようにヘレナの前へ跪くと、彼女の陰核へ吸い付いた。

「イヤァ――! 」

 愛する夫に楔を打ち込まれながら、当てつけに選んだ男に豆をしゃぶられる。

 あまりに過ぎた快感にヘレナはかぶりを振りながら暴れようとしたが、彼女の脚を開かせているクリストハルトはついでのようにその腕も押さえ込み、ヘレナは微動だに出来ない。

 クリストハルトに首筋を舐られ、耳を食まれ、舐められ吸われ。

 ローレンスに吸われた豆は彼の口の中でチロチロと舌先に可愛がられた。

(最高に気持ち悦いわ――こんな事ないわ――最高、最高よ――)

 雌穴を一杯に広げるようなクリストハルトの熱い雄がビクビクと震える度に満たされる。

 ヘレナは過ぎた快楽に、尿道口からダラダラと尿を垂れ流している。

「ローレンス、ヘレナが幼子のように漏らしておるぞ? 床が汚れるではないか」

 クリストハルトの言葉にビクッと震えたローレンスは彼の言葉が求めるものを理解してヘレナの尿道口をぺろぺろと舐め出した。

「あっあっアァッ! やめてローレンス、ローレンスやめてぇいやぁ――! 」

「好いた男に尿を飲ませる趣味があったとはなぁヘレナ? 」

 ヘレナはローレンスが自分を雑に抱いていた事など気付いていた。もちろん、愛してなどいない事も。他でもない、クリストハルトに抱かれていたから気付いていたのだ。

 己の心の隙間を利用して、己を性処理に使っていた卑怯な男が、ヘレナの尿を舐めとりながら喉を鳴らしている。

「アァッ――いやぁ! 出ちゃううっ! ローレンスやめてぇ! 」

「全て飲むのだローレンス!! 」

「イヤァアァッ!!」

 クリストハルトの言葉にヘレナの尿道口を覆うようにピッタリと口を付けたローレンスの喉に、ヘレナの聖水が叩きつけられた。

「――んぐっ……ンッ……」

「一滴もこぼすな! 」

「やめてぇ! ヤメテ!嘘よおぉっ――こんなッアァ――!」

 口ではクリストハルトの望むように嫌がって見せながら、ヘレナはこんなに気持ちの良い放尿ははじめてだと高揚していた。

(嗚呼――凄いわ……あのローレンスに、私のおしっこを飲ませているわ……あの男が私のおまんこに口を当てて離れまいと必死になってる……ああ、なんて……なんて気持ちが良いのかしら――――)

 長い放尿だった、ヘレナはあまりの気持ち良さに全部出し切るまで腹に力を入れ続けた。

(全部、全部飲みなさいよ……今まで私の中へ出してきた子種の量と比べれば可愛いものでしょう――?)

「あ……ァ……ァ……ぁ――アァッ!!」

 全て出し切ると同時、ヘレナは果てた。

 ローレンスは全て飲みきった後、クリストハルトに命じられるがままにヘレナの花園を舐め回し、愛液と尿を全て飲み込んだ。

 あまりの気持ち良さにピクピクと震えながら、ダラリとクリストハルトに身を預け目を半開きにしながら口の端から唾液を流すヘレナにクリストハルトはキスをした。

 力を無くした舌を吸い出し絡め取り、唾液を飲み込んでいく。

(嗚呼、私は今、クリストハルト様の剣を納めながら彼にキスをされているのね……こんな、こんな日が来るだなんて――)

「……どうしたヘレナ、もう嫌がらぬのか? 」

「ッ!! 」

 その言葉にヘレナはハッとして彼から離れようとした――しかしその抵抗は彼の逞しい腕に阻まれ、ヘレナは彼の肉を食んだままに彼と向かい合うように反転させられた。

「い、いや! 」

 好きな男の前で、好きでも無い男と対面座位で向かい合う女を想像しながらヘレナは嫌がってみせ――次の瞬間、言葉を失う。

 クリストハルトがヘレナを抱えたまま立ち上がったのだ。

「ほれ? 暴れてみせよ、落としてしまうやもしれんぞ? 」

「いや……怖、怖い……ヤメテ……」

 ヘレナは高さに怖がるフリでクリストハルトの太い首に腕を回し、逞しい胸に縋り付いた。

(なんて逞しい身体……ローレンスとは全然違うわ……クリストハルト様、クリストハルト様――)

 しかし、再びクリストハルトはローレンスに信じられない命令を下す。

「私が味わっている間、お前はコヤツの尻穴を舐めていろ」

「なっ?! 」

「出来ぬとは言わせぬ! やれ! 」

 次の瞬間、ヘレナを信じがたい快楽が襲った。

 クリストハルトの腕がヘレナの膝裏に差し込まれ、彼女は限界まで脚を開かせられながら彼の怒張を抜き差しされている。

 その後ろからローレンスはヘレナの尻の割れ目に顔を埋め、彼女の尻穴をべろべろと舐めまわしはじめた。

「アッアァッ――! イヤァ! やめてローレンス、あなたにそんな事させたくない! お願いヤメテェ――――!! 」

(うそよ、堪らない、たまらないほどにキモチがイイわ――――最高、最高よ!! )

「ははは!ローレンスの言った通りよ、お主の穴は具合が悦い! 好いた男に尻穴を舐めさせて、愛してもいない男に犯されていると言うのに私の雄に吸い付いて舐めしゃぶるようではないか! 」

「ウソよウソよウソよウソよおおっ――ッ!」

 クリストハルトの首に縋りながらも必死でかぶりを振って否定するフリをしながら、ヌメヌメと尻穴を這い回る舌と、愛する夫の熱い雄に奥を攻められ続ける快楽に潮を吹きながら感じまくるヘレナ。

 一方、彼女の尻穴を舐めさせられているローレンスは人生最大の屈辱を味わっていた。

(こんな――この俺が! 貴族とは言え女の尻穴を舐める事になるなんて――! クソっ! クソっ! クソっ! クソっ! )

「――いくぞヘレナ! 妻の勤めを果たすが良い、バッハシュタインの子種をその身に受ける事、光栄と思え!! 」

 

「いやぁっお願いヤメテ! ローレンス! ローレンス助けてぇ!! ッアァッ――アァァァアアッ――!! 」

 ――ドクンッ、と、ヘレナのナカで熱いモノが震え、広がった。

「あああっ……ああ、嘘よ……ローレンスの前でこんな……あぁ……赦して、赦してローレンス……」

 快感に震えながら止まらぬ涙すら利用してヘレナはクリストハルトの望む言葉を続ける。

 ローレンスは二人が果てた事に気付くと、ホッとしたようにヘレナの不浄の穴から舌を離し、グッタリとその場に座り込んでいる。

 しかし――次の瞬間、クリストハルトから信じられない命令が下された。

 再びヘレナの背を胸に付ける形、幼子に小便をさせるような格好をさせて抱えてたクリストハルトは、己の白濁を垂れ流す穴を見せつけるようにこう言った。

「良いのか、ローレンス。このままだとお前の愛しい女が私の子を孕むぞ? 」

「……え」

 ローレンスはクリストハルトの言っている意味が全くわからなかった。

 貴族に嫁いだ女がその当主の子を孕む事に何の嫌やがあるのかと。

 しかし、それを耳にしたヘレナが咽び泣くように顔を両手で覆った。

「嘘よ……嫌、いやよ……私はローレンスの子を産みたかったのに……」

「え、いや……それは……」

 ローレンスはいよいよ青ざめた。目の前の女の愚かさに、自分のしてきた事も忘れて今すぐにでも女を殴り飛ばしてやりたかった。

 しかし、当主の前でそんな事は出来ない。

 ローレンスに出来るのはただこれ以上ヘレナが愚かな事を言わぬようにと願う事だけ。

「いまさら何を青ざめておる? 貴様、ヘレナに自分の子種をあれだけ注いでおいてその気は無かったとでも言うのか? 自分が孕ませた子が生まれ、バッハシュタインの嫡子として育てられる様を笑って見ているつもりだったのだろう?」

「ッそんな?! クリストハルト様、それはあんまりです! 私にそんなつもりは――ただ、ヘレナ様に恋をしてしまった愚かな男、それが私なのです!! 」

 この流れはすこぶる不味いと思ったローレンスは咄嗟に吐いた口から出まかせを中々の出来では無いかと思った。

 そうだ、そういう事にしよう、自分はただこの馬鹿女に恋をしただけだと――

「ならば舐めよ 」

「は…………?」

 何を言われているのかわからず、間抜けな声が出た。

 そんなローレンスにクリストハルトは底冷えのする冷たい目を向けてなおも言い放つ。

「その愛しい女に、別の男の子種が注がれたのだ。私がヘレナを抱いている間の従順さに免じて、特別にその舌で掻き出す事を許してやろう」

「んなっ?!! 」

 ローレンスは目を見開いて今度こそ固まった。何を言われているのだ……?舌で掻き出す……? 何を……もしや……ヘレナに注がれた、クリストハルトの……?!

「ほれ、床が汚れてしまうでは無いか……」

「あ……あの……」

「ローレンス……ローレンス助けて……」

(クソ!! このアバズレが!!黙って――)

「早くしろッ!! 」

「ヒイィ!!」

 部屋全体を震わせるような大声にローレンスはカサカサと音立ててヘレナのすぐ下に跪き、イカ臭い穴に舌を差し入れた。

「あ……ああ……ローレンス、ローレンス……」

(きもちがいい……最高……最高よローレンス、ねえ、今貴方どんな気持ち? 馬鹿にしてきた女の穴に舌を差し入れるしか出来ないなんて――ああ、最高の気分だわ……)

「良かったなヘレナ、お前を愛してる男が私の子種を全て掻き出して飲んでくれるそうだ」

「いやよ、そんな……そんな事しなくていいのよローレンス! もう、私の事は放っておいて! 」

「お前に恋する男がお前を見捨てられる訳がないでは無いか? そうだろう、ローレンス」

 穴に舌を差し込み、生理的嫌悪感すら感じる粘液をローレンスはもはや半泣きで啜っていた。

「う……うぅ……ぐすっ……」

 どうしてこんな、この馬鹿女が誰の子を孕もうが知ったことでは無いのに、こんな事をさせられている自分がローレンスは可哀想でならなかった。

 ヘレナは自分を好きにし続けた男の半べそを見ながら蜜壺をヒクヒクとさせ、再び尿道口からジワジワと温かいモノを垂れ流した。

「どうしたヘレナ、よもや感じているのではあるまいな? 私の子種を啜る愛しい男はそんなに魅力的か? 妬けるな? 」

 そう言ってクリストハルトに耳を舐めまわされて思わず腰を揺らすヘレナ。

 その時ヘレナの豆がローレンスの鼻に擦り付けられ突然訪れた快感にプシャっと潮を噴いて彼の顔全体を汚した。

 ――プツ

 ローレンスは何かが自分の中で切れる音を聞くと、両手でヘレナの尻を鷲掴みにし、ヘレナの股間を激しくしゃぶりだした。

(なんで! 俺が! こんな! 事を! なんで俺がなんで俺がなんで俺がなんで俺がなんで俺が――――!! )

「アァッ! ダメよローレンス! 感じてしまうわ! 貴方にひどい事をさせているのにっ! 私、感じてしまうわぁっ!」

 蜜壺に口をピッタリとつけて凄い勢いで吸い上げた。舌と鼻を使って下から上へ何度も何度も舐めあげた。ついでに豆も舌で激しく嬲ってやって、そうすると精液とは違う粘液が溢れてあの嫌な味が軽減された。

 そうだ、女を感じさせれば良いのだ。

「ああっ! ローレンス、ローレンス好きよ! アァッきもちがいいわ、貴方の舌も鼻も唇も全部――――もっと、もっとしてぇローレンス! 」

 がっしりと固定されているにも関わらず、普段の儚さとは考えられない力でヘレナが腰をふりみだす。

 過ぎた快感に顔は涙や鼻水、ヨダレでぐちゃぐちゃになっているのにクリストハルトはそんな妻の姿に再び雄を熱く滾らせ――――ローレンスがしゃぶる豆のすぐ下の穴に再びそれを突き刺した。

「イヤアアァァア!! やめてくださいクリストハルトさまぁ!ローレンス、ローレンス助けてぇ!! 」

「愚かな女よ、まだわからぬか! もうコヤツにお前の声など届いておらぬわ! 」

 後ろから激しく攻め立てるクリストハルトの雄に全く気付いていないのか、壊れたようにヘレナの花園を舐めしゃぶるローレンス。

「アァッ――ローレンス! ローレンス――!! 」

「ハハハハハッ!ハハハハハハハハハハッ!! 」

 狂ったように笑うクリストハルトと、壊れたように『愛しい人』の名を呼ぶ妻ヘレナ。

 しかしこの中で本当の意味で壊れる事になるのは、愚かにも野心を抱きヘレナを食い物にしようとしたローレンスだけだった。

 ――こうして始まったバッハシュタイン分家の宴は、クリストハルトの妻が亡くなるその日まで続けられる事となる。

 ――タスケテローレンス――