聖女様はガテン系お兄さんを喘がせる6

 オリエンヌは「ちんこが痛い」と言っていた庸介に手早く回復魔法をかけると、ベッドの下に頭を突っ込んだ。

 一応着崩れてはいるものの、 服は着ている……いるが。

 聖女の服は身体のラインを浮き上がらせる作りである為に、尻を高く突き出すかたちになっている彼女の格好に庸介はこれからされる事を忘れかけてまたアソコが元気になりそうだった。

 本当に勘弁してくれムスコよ……

 庸介は己のサルっぷりにげんなりしつつも、ふるふると高い位置で揺れるオリエンヌの尻が気になって仕方がない。

「あ! ありましたよ!! 」

 ……ちょっとビクッとなった。

 オリエンヌはそんな庸介の様子にさっぱり気付く事なく、じゃじゃーんっ!!と手に持った棒を振り上げた。

「魔導張り型でーすっ! 」

「……………………」

 魔導と付いているからには何か魔法の道具なのだろが、いかんせん後に続いた言葉に不安しかない。

「これはですね、初期設定の段階で自分の意中の男性に魔力を流して貰うとその男性の性器に姿を変えるという優れものなんですよ!! ちなみに女性器を模したものもあります! 」

「………………」

 ちょっと聞いただけで悪用されてる可能性が何通りも思い浮かぶシロモノである。

 販売にあたって問題は無かったのか、トラブルは? と、庸介はこの世界が心配になった。

 主に倫理観的な意味で。

「元々は貴族の裏オークションで販売されてたものなんですけどね。かの英雄クリストハルト様型の張り型が大量に出回った事でみんな感覚が麻痺したのか、コレに魔力を流すの事で小銭を稼ぐ人が出てくるくらいは一般的に普及してるものです」

 庸介はちょっと前の世界に帰りたくなった。

 目の前の見た目だけは妖精か天使かと思わせる美しい生き物が居なかったらの話だが。

「そしてこちらがそのクリストハルト様型です 」

「持ってんのかよ?!! 」

 わかりやすく『がぁーん! 』と言ったようにショックを受けて顔色を悪くした庸介にオリエンヌは首を傾げた。

 童貞庸介は、まさか女性がそんな物を持っているなんてAVや漫画の中の話だけだとばかり思っていたピュアボーイだったようだ。

「女の子の嗜みですよ? お祖母様も言ってました。適当に処女捨てるくらいなら、はじめての相手と一発目から気持ちよくなれるように、サクッと膜は破って開発しといた方が建設的だって! 」

「どんなババアだよ?! 」

「お祖母様も庸介……さん、と同じ『落ち人』さんですよ? 世界も国も同じ所からいらしたと思われます 」

「日本人!!! 」

 庸介は受け入れがたい現実に頭を抱えた。

 百歩譲ってオリエンヌがそうだと言うのはこの世界の価値観なのかもと言う逃げ道があり、割り切れる可能性もあった。

 しかし彼女にその価値観を刷り込んだのが同郷の日本人女性だったという事は、庸介が二十数年生きてきた場所でその価値観が存在したと言う事を意味する。

 残念ながら聖女の祖母が少し特殊だと言う事を彼に教えてやれる人間は、ここにいなかった。

「使い方はこの根元に魔力を流すと……こう、ほら、魔力の強さに比例して動きが早くなるんです! 凄く良いです! 」

 うぃんうぃん唸って円を描くように動くクリストハルト型を握りながら、頭を抱えて突っ伏した己の落ち人様を気にする事無くオリエンヌはさっさと話をすすめる。

 ……早く庸介の尻穴開発に進みたいだけの残念クオリティだ。

「そして、コレを大事な部分に挿れるとですね……」

「?!?!!?!」

 おもむろに脚を広げてスカートを捲り上げ、オリエンヌはクリストハルトという人物の性器を模ったというソレを入れようとして――

「待てやめろ! さすがに怒るぞ!? 」

 ピタリと入り口に当てた所を庸介に腕を取られた。

 クリストハルト型ではなく、目と鼻の先にある庸介の凶悪な眼光がオリエンヌを貫いた。

「はうっ! 」

(何それイケメンカッコいい素敵感じちゃうしんじゃうっ!! え、嫉妬?! クリストハルト様に嫉妬なのです?!え、私明日死にますか……?)

「……なんか知らんが、お前はさっき俺のものになったんだろうが?! だったら他の男のヤツとか挿れてんじゃねぇよ、わかったか?! 」

「はうううっ……はうあうあぁ……ッあんっ」

「あ? 」

 

 こちらは怒っていると言うのに、オリエンヌの様子がおかしい……そう思って庸介はオリエンヌの中心に当てられたソレを見た。

 ……ヴヴヴヴヴヴヴ

 ……さっきはうぃんうぃん円を描いていただけのソレにいつのまにかバイブレーション機能が追加され、オリエンヌの豆を叩き揺らしている。

 しかも、まるで庸介がオリエンヌの腕を取って当てさせているかのような格好だった。

「こ……この張り型の根元より先はぁ……自分の魔力に反発してぇ……震えるようにできてるのですぅ……動作させるために、ッアン! ……入れた魔力がぁああっ……体内にぃもどっんんっ……戻る仕組みになっているの……アァァァアア――!! 」

 あまりの事に固まっていた庸介は、オリエンヌが果てるまでしっかりソコへ当て続けてしまった。

 くたりとベッドサイドに寄りかかってオリエンヌは上がった息を整える。

 固まりつつもしっかりと説明を聞いていた庸介は、嫌な予感にツゥ……と一筋汗を流した。

「おい……もしかして……」

「はい、これを、使って……庸介さんの尻穴からも私の魔力を流せば――繋がっている場所が倍。つまり理論上は2倍の早さで魔力定着が完了するのです!! 」

「バイブが外付けハードとか聞いたことねぇよ?!! 」

「ハードが何かは知りませんが大丈夫ですよ! 」

 話している途中から呼吸も整い、元気になってきた聖女は絶好調である。

 クリストハルト型に洗浄魔法をかけてベッドへ放り投げると、同じような張り型……しかし、つるんとしたただの木の棒のような形のソレを庸介へ向かって突き出した。

「コレは初期設定で女性が魔力を流すと、男性器の形にはなりませんが、大きさと太さは自分の好みに変えられます! 」

  「おい、まさか―― 」

「最初は細いのからいってみましょうか庸介さん!! 」

 のどかな田園風景広がる農村部、その中心にポツンと立った神殿から、男性の悲鳴が響き渡った。