神官長、獣人さん夫婦を見送った後〜前編〜

 希美子とジークヴァルトを見送った神官長ユリウスは一仕事終え、自室へ向かっていた。

 今日はなかなか面白いモノを見れたな、などと思いながら――

(あの、冒険者ジークがあんな風になるとは思いもしなかったな)

 口の悪さも、目の悪さも昔と何一つ変わっていないのに、落ち人と居る時のジークは別人のようだった。

 母の侍女だった女に子どもの頃から鍛えられていたユリウスは、神官として異質なほど実戦経験がある。

 希少性の高い聖魔法が扱える人間は、基本的には神殿の人間だけだ。

 それなのに、箱入りの彼らは戦い方など殆どしらない。

 この世界の災害、スタンピードが発生した時などであっても、基本的に彼らは後方で怯えているだけで、それ故に前線の重症者は殆どがそのまま死ぬ事になる。

 簡単な治療魔法なら扱える冒険者も少なくないが、欠損の修復や強い悪霊の浄化などは日々、神に祈りを捧げる彼らにしか出来ないことだった。

 そんな背景もあり、ユリウスはとても希少な『戦える神官様』なのだった。

 国が依頼を出さざるを得ないような大きなヤマの時、駆り出される神官は決まってユリウス。

 神殿や国もユリウスの有用性に気付いてからやっと後進の育成をはじめたが、前線に立たされる戦士など、貴族にとっては取るに足らない存在に違いないので、金をかけて育てた後進が前線に立つ確率は今のところ限りなく低いとユリウスは見ている。

『治療されたければ後方まで来い、ただし使えるやつに限る』

 これが神殿の総意と言っても過言ではない。

 話は逸れたが、そんな訳でダンジョン等、少数精鋭打破が条件とされる時、国は一流の冒険者を雇い、そして――王妹の息子でありながら『卑しい血』を持つ彼を、そのパーティへぶっこむのだ。

 実の所、ユリウスの父はわかっていない。

 母が話さないのを良い事に、屋敷の使用人だとか旅のエルフだとか、吟遊詩人だとか――口さがない人間がユリウスの異常なまでの美しさを見て好き勝手に話しているのが現状だ。

 そんな背景もあり、ユリウスは一生を独身のまま神殿で生きるつもりでいたのだ。

 そんな折、彼の前に現れた『落ち人』――

 この世界で『落ち人』の存在は何よりも優先される。

 女神セレスの強い祝福を持つ『落ち人』は、その存在だけで国を富ませると言われてきた。

『落ち人』の居る街は、災害知らず。

『落ち人』の居る領地は、飢餓知らず。

『落ち人』の居る国は――

 土は肥え、太陽に愛され、恵の雨は優しく、精霊の祝福を得る。

 存在するだけで幸福をもたらす、その存在は何よりも優先される。

 結果、ユリウスと『落ち人』の婚姻に、王家は何も口が出せないのだ。

 ユリウスの子が出来ても、それは落ち人の子なので手を出す事など出来ないのである。

「――妙子、お待たせしましたね」

 自室に着いたユリウスは、真っ直ぐに寝所へ向かいベッドへ横たわっている彼の愛しい『落ち人』へ声をかけた。

「ッ……ぁ……ん――」

「一日中、私の『カタチ』を味わっていた感想を聞かせて貰いましょうか?」

 妙子と毎夜睦みあって行く内、プレイの一環で使っていた妙子への敬語がそのまま癖になってしまって抜けなくなったユリウスは、高潔な神官長の顔で妙子に話しかけた。

 バサリと上掛けを捲ると、そこには生まれたままの姿で張り型に中心を貫かれたまま大の字で手足を拘束されている妙子が身悶えていた。

「ンあっ……だ……ユリウスのが……いい――」

 涙を流し、息も絶え絶えとなっている妙子が途切れ途切れに言うが、ユリウスは取り合わない。

「私の、カタチではないですか?妙子が望んだのでしょう?こうして、私が仕事で部屋を空けている時にも私を感じたいと――私に内緒で商人からこの魔道具を購入したのは妙子ではないですか?」

 そう、妙子がこの張り型を購入したのだ。

 王都で人気だというこの魔道具は、男性が魔力を流すと自分の分身へ形を変化させる優れものだった。

 ――

 ――――

 ――――――

 妙子は昼間、仕事をするユリウスを遠目でこっそり観察しながらオナニーするのが趣味なのだが、最近では毎夜ユリウスと睦みあっている為に自分の指だけでは物足りなくなってしまっていた。

 そこに来て、宝石やドレスを『落ち人様へ』と持ち込んだ商人がコッソリ持っていた玩具……即断即決、一も二もなく購入したその玩具の説明を、妙子はその日の営みが後戯へと入った時ユリウスに使い方を含めてしたのだ。

 しかし、ソレを見せられたユリウスが予想外の反応を返す。

『私との、夜は……そんなに満足出来ないものでしたか……?』

 ――ショックを受けていた。

 明らかに落ち込んだユリウスに、すぐに違うと説明した妙子だったが、俯いて表情のわからないユリウスは次の瞬間。

『そこまで言うなら証明してください、こんなものより私が良いと――』

 妙子をあっという間にベッドへ括り付けたユリウスは、魔道具に魔力を通して自身の形に変えた後、先程まで自分が居たその場所に――苦しげな表情をしながら突き入れた。

『いくら、私のカタチとはいえ、私以外を迎え入れようなんて……妙子は残酷です』

(え、えええええっ?!)

 その発想は全く無かった妙子は心底焦った。

 そんな、新しい価値観があっただなんて?!と。

 そして――妙子のお腹にポツリとポツリと落ちて来たその雫が、ユリウスの涙だと気付いた時。

 怒涛の勢いで罪悪感が押し寄せた。

 ――ちなみに美貌の麗人は、泣き顔すらも大層美しかった――

『ゆ、ユリウス!違うの!あの、そんな風にユリウスが思うとは思わなかったっていうか!バイブなんて前世で良く使ってたし?!』

『よく――使って、いた?』

『あ、いや!ほら!?私、身持ちが固いっていうか?!遊びでセックスとか出来なくて、恋人居ない時なんかは――』

『やはり、恋人が……私が初めてでは……無いですよね』

(あああああああっ!!!)

 話せば話すほど墓穴を掘る事になった妙子は、盛大に拗ねたユリウスに一日部屋を出る事を禁じられ、この格好で放置される事になったのだ。

 ――まあ、ほぼ一時間毎に、様子を見に来てはトイレの代わりの洗浄魔法をかけたり、汗や愛液を綺麗にしたり、甲斐甲斐しく食事を与えたりして、部屋を出て行く時には魔道具へ魔力を流して絶妙な振動と刺激を数分置きに繰り返すようセットして行ったりと……普段よりもずっと一緒に居たわけだが……。

 ――――――

 ――――

 ――

「ねえ、妙子。気持ちが良いですか?」

「ゆ……ユリウスの、方が……いい……」

「そう……?その割には顔がトロトロですよ?」

「ユリウスが……う、ごかす……からっ」

 ユリウスは、妙子のすぐ隣に横になった状態――右肘をついて少し上体をり起こした状態――で、己の形をした張り型の根元を左手の美しい指で摘んで、ゆっくりと妙子の穴に出し入れさせている。

「私が動かすから感じるんですか?」

「ユリウスの、かたち……だし……」

「そうなのですね」

 ゆっくり、ゆっくりと出し入れを繰り返しながら寝物語を聞かせるように妙子に話しかけるユリウス。

「ねえ、妙子。こんな物より、私が欲しい?」

「ユリッ……ユリウスっが……ほしいぃ」

「でも気持ちがいいんですよね?」

 ゆっくり、ゆっくりと摘んでいるモノを引いては押し、押しては、引く。

「っ……ほんと、は……いちにち、じゅう。ユリウスのが、いいのっ……でも!できな、から……買った、の!」

 ピクリとユリウスの片眉が跳ねた。

「ほん、とは……ずっと、ずっと、ユリウスの……ほし、いぃ――でも、だから……ユリウスの形で……」

 ゆっくり、ゆっくり……引いては、返す……引いては、返す……

「……せめて……と、おく……から、ユリウス……見て……した、くてぇ……ッ」

 引いては、返す……引いては、返す……

「ユリウスのっおちんちんが、いい――」

 ゆっくり……ゆっくりと……

「ユリウスっ……してぇ……?」

 最後は殆ど鳴き声みたいな声で懇願した妙子の足を縛っていた紐を魔法で切ると、ユリウスは張り型を抜き去り、妙子の拘束された腕はそのままに、自由になった足を持って開かせると――

 ――そのまま己の滾りで彼女を貫いた。

「ああ――ッ!ユリウスっ、ユリウスッ!ユリウス――いいっ――!」

「ッ……あっ……ハッ……アッ!いい――気持ち、いいです……妙子っ……!」

 普段、ユリウスが上でこんな風に妙子を組み敷く事が全然無い訳ではなかったが、妙子の腕を拘束しながらというのは初めての事で――ユリウスは興奮で頭がおかしくなりそうだった。

 美しく長い銀髪を振り乱しながら、一心不乱に妙子の奥へ奥へと何度も己のペニスを出し入れさせる。

「ユリウスっ、もっと、もっと――きてぇえっ!」

「たえこっ、たえこっ……たえこっ……たえこ――」

 光の加減で七色にも光輝く銀色の長い髪の毛を躍らせて、一心不乱に腰を打ち付ける。

 繰り返し、打ち付ける。

「きもち、いい……ですか?たえこ……きもち、いい?」

「んん――イイっ……ユリウスの、おちんちん、きもちがいい、のっ!ユリウスのがっイイ……のぉおっ!」

 

「たえこっ……たえこっ、たえこっ、たえこっ、たえこったえこ、たえこ――たえッ……ぃッ……ク――――――」

「あっあっあっあっあっあっあっ――ッ――ああぁぁああ――!!」

 ユリウスの子種が妙子に注がれる。

 背中を反らして腰を突き出し、ピッタリと打ち付けた状態のまま、ユリウスはしばし硬直した。

 ドクドクドクドクとさせながらパンパンに反り立った男根は、妙子の穴にビッチリと刺さっていたので、その血潮までもが妙子を感じさせた。

「ああ――熱いぃ――……ユリウスの、おちんちん、あつい……きもちぃ――」

 その言葉に、ユリウスの男根はどくんっと震えて。

 抜かずの2回目に突入したのだった――