――ねえ、私。希美子ちゃんを護るって言ったよね?
そう口にした妙子の言葉にジークヴァルトは眉間の皺を深くした。
「おい、我が儘言うな。時間が無い」
「私かユリウスが居れば、蘇生ができるんだよ!?何かあったとしても!」
妙子の中で、自分が希美子を守ると言うのは決定事項だった。ユリウスから話を聞いた時、話し合って決めた事なのだ。
ジークヴァルトがレイアよりも希美子を優先するのは落ち人のツガイならば当たり前の行動だし、それは尊重されるべきだと妙子達は思う。
ジーク達が逃げるという結論を出したなら、神殿は『落ち人不可侵』を主張してバッハシュタイン並びに冒険者ギルドと対立する用意があった。
ユリウスは、ジークヴァルトなら神殿がどう動くかもわかるだろうと言っていた。
そして同時に、ジークヴァルトと言う男がツガイの命だけを守ろうとする姿も想像が出来ないと。
彼のような強者なら命なんて守ってやって当たり前と考えているだろうと、それならば他に何を守るというのか、優先すると言うのか。
ジークが守り優先しようと考えるのは命のその先――
彼女の気持ち、彼女の心だ。
希美子が自分の命惜しさに他人を見捨てても心を痛めないような人間なら逆にいい。
しかし、そんな女性がどれだけいるだろうか。妙子がユリウスから聞いた希美子は普通の女性のように思えた。
きっと、冒険者ジークは戦う事になるだろう。彼女の心を守るために。
そう、妙子達が話していた通りになってしまった原因は――レイアの領主バッハシュタイン辺境伯の三男にして王国の騎士団長、クリストハルト・バッハシュタイン。
彼の置いた布石は既に整い過ぎる程に既に整っていたのだ。
彼は人間として何処か壊れた所がある。
そしてそんな自分を基準になんでもやり過ぎのきらいがある。
優しげな表情の裏に隠された加虐的思考。
人を追い込み追い詰めておいて相手が根を上げると「本当にいいのか?」などと平気な顔で言う人間なのだ。
しかも本音で言っているからタチが悪い。
妙子達は何も出来ない自分達に出来るのは『もしも』の回避の為に最後に切れるカードとして彼等に付いて行こうと、同じ落ち人とツガイという関係を持つ人間として、自分達が彼等に協力出来うる最善はそれだろうと考えた。
しかし、と妙子は思う。
今この場で主義主張の話を始めたとして、これらは妙子の自己満足でしか無いしジークヴァルトの頑な態度を見れば、妙子たちをレイアに戻そうという彼の意見が通ってしまうだろうと予測できた。
それなら……と、妙子は客観的側面から主張する。
「あなたは言ったわ。もし、死ぬような事があったらって。一緒に行く以上、希美子ちゃんにも同じ事が言えるでしょう?私が居ればそのもしもさえ覆らせる事ができる。ねえ、私を連れて行った方がいいでしょう?」
「――ッ妙子!」
「――ねえ、ユリウス。これからレイアに帰るのと、このままジークに着いて行くの、私は一体どっちが安全だと思う?想像してみて、ユリウスと一緒にレイアに戻っても状況次第では一緒に居られないかもしれない。スタンピードの混乱の中で」
「っ――私は!」
ユリウスはそれだけ言って何も言えなくなってしまう。
そんな状況の中で妙子を片時も離すつもりはない、死なせるつもりはない。
でもそれはジークにだって言える事だろう。
それでも彼は自分が死ぬかもしれないと言った、ユリウスよりも強い冒険者がそう言ったのだ。
それが、客観的に思考すると言う事だ。
「っ……」
苦いものを口に感じた。ジークがドラゴン討伐をキャンセルせざるを得ないと言う話、今日聞いたスタンピードの話。落ち人を頂いたという彼とそのツガイを心配する妙子に、冒険者ジークの実力を……彼がどれほど優れた冒険者なのかを話して聞かせたのはユリウスだ。
「……妙子は、ジークと一緒にいた方が安全でしょう」
「……おい」
ジークヴァルトは二人の態度に苛立っていた。
妙子には、ツガイになんて事を言わせているのだと。ユリウスには、何を正直な事を言っているのだと。
しかし同時に彼等が自分と希美子を思いの外心配していたのだと、こうして戦いの場に出ざるを得なかった事に少なからず責任を感じ心配しているようだともわかってしまう。
「……巫山戯るなよ?さっきも言った筈だ。ユリウス、俺は希美子で手一杯だ。自分のツガイくらい自分で守れ。妙子、お前を『蘇生道具代わり』に連れて行けと言うならそんなものは間に合ってる。今回の事で責任なんぞと言う見当違いなモノを感じてるなら、別の方法で希美子の役に立て」
妙子はジークヴァルトの言葉にハッと顔を上げると、叱られた子供のような――泣くのを我慢しているような顔をして希美子にフラフラと近付いた。
希美子は妙子が何故そんなに頑で、こんな迷子みたいな顔をしているのかわからなかったが、彼女から伸ばされた手を取った。
「……希美子ちゃん、ごめん……ごめんね」
「……妙子ちゃんが謝る事なんて何もないよ、帰ったら紗枝さんに会いに王都に行くんでしょ?私、約束破るつもり無いから。ジークがいればきっと平気だから」
希美子の言葉を聞く前に頭を下げてしまった妙子が、今どんな顔をしているのか希美子にはわからなかったが、妙子が何かを呟くと温かなものに身体を包まれた気がした。
「付与魔法、気休めだけど……気を付けて」
「うん、妙子ちゃんありがとう」
希美子の言葉に再び歯を食いしばった妙子だったが、ユリウスに肩を抱かれると静かに希美子の手を離した。
「……行くぞ」
「うん……」
ジークヴァルトは希美子を抱いたまま聖白竜に飛び乗ると、聖白竜はすぐに翼を広げ夕焼けの空へ再び舞い戻っていった。
「シロ、もう兵士に会う事も無い筈だ――時間を食い過ぎたから急げ」
『……わかったわ』
ジークヴァルトはレイアから出来るだけ遠くで死竜を始末したかった。
ヤツは存在するだけで人族に死の呪いを撒き散らす、とても厄介な相手だったからだ。
ジークヴァルトの言葉を受けて、シロは先ほどとは比べ物にならない速さで進んで行く。
希美子はぐんぐんと流れる景色を見て、今更ながら自分は異世界に来たのだなと実感した。流れる景色そのものは、希美子の記憶にも似たような森はあったと思うが、何よりドラゴンに乗っていると言う非現実。
「……希美子、身体の調子はどうだ?」
「え……?」
一瞬、希美子はジークヴァルトの質問の意図が本気でわからなかった。
「……魔力循環の事だ、戦いになれば次にいつしてやれるかわから無いからな」
「え……え?!ま、魔力循環?!」
そう、要するにジークヴァルトは――セックスしなくて大丈夫か――と聞いている。
「え、いや、えっとあの、さ、さすがに此処では……」
「何を想像してやがる、さすがに聖白竜の上じゃ罰当たりにも程があるだろうが」
(えええっ?!ジークが聞いたんじゃん?!)
希美子は顔を真っ赤にしたが、ジークヴァルトの言葉に衝撃を受け過ぎて口をパクパクさせた。
『え?何かしら……あ!交尾ね?!いいわよ!勝手にやってちょ……』
――ドゴンッと、凄い音がした。
『ちょっと!さすがにちょっと痛いわよ愛し子!』
「お前ちょっと黙ってろシロ」
『もう!仕方ないわね!いいわよ、ムードも大事だものね!』
いやもう本当に黙れ、とジークヴァルトは思ったが、ある匂いを感じて瞬時にシロの背中の上で時空結界を展開させた。
「おい……何を盛ってやがる……?」
「だっ……だってジークが……シロちゃんが……」
先ほどよりも顔を真っ赤にさせた希美子は、慌てて言い訳をさがすが、既にアレの匂いをキャッチされている時点で何も言葉が見つからなくなってしまった。
「まあいい……効率は悪いが方法が無い訳じゃねぇ」
「え……んむっ?!」
希美子がジークヴァルトに聞き返そうとしたところで、ジークヴァルトの唇が希美子のそれを塞いだ。
ふにっ……と、唇の感触を確かめて行くような口付けをゆっくりと繰り返されると、徐々にビリっ、ビリッと言う痺れが唇に感じられた。
形をなぞられ、上唇と下唇をそれぞれ食むようにチュッと吸い付かれる。
(……ジークのキス凄いんだよおおっ何これ……唇が痺れたみたいになってきた……)
胸の奥に温かな何かが満たされていくような、そんなキスだった。
希美子はされるがままになっていると無意識に瞳がトロンとしてしまう。
それを流し見て確認したジークヴァルトが、希美子の髪の毛に手を差し込むと後頭部を鷲掴むように支えて、引き寄せた。
「っ……」
とたん、深くなる口付けと共に何か温かくて気持ちの良いモノが流し込まれて希美子は訳がわからなくなった。
「んっ……んくっ……ふ、あっ……」
脳が痺れるような感覚に襲われて、希美子はジークヴァルトにキスされながら彼の装備に手を掛けて縋るように寄りかかった。
「んんんっ……ッ!……んちゅ……ちゅ、ちゅくっ……」
『気持ちいい』を流し込まれ希美子は身体をビクンビクンと跳ねさせながらそのキスだけはやめたくなくて必死になった。
ジークヴァルトに舌を絡め取られ、ちゅるりと吸われ、上顎の気持ちが良い場所を舌先でくすぐられては送り込まれる『何か』を必死に飲み込んだ。
やがて希美子は我慢できずに太ももをモジモジさせていると、それに気付いたジークヴァルトの手がスカートの中へ侵入してきた。
希美子は半ば反射的に、その手が動きやすいようにと閉じて座っていた脚をジリジリと開いて行く。
――つぷ……
「ッ――つっ?!!……ッ、ッ!?」
下着越しにワレメに触れられて、希美子は軽くイッたかもしれないと思う。
ビクビクと震える希美子の身体に、下に侵入させた手とは別の腕が回され、力強く希美子を抱きしめていた。
ちゅ……そう、小さな音を立てて唇が離れていく。
「……に……?な……に?これ……ジーク」
「……口から意図的に魔力を注いだんだが、お前……なんてザマだ?」
自分でやった癖に、ジークヴァルトは希美子の惨状に半ば呆れたように驚いていた。
目をうるうるとさせながら、頰を上気させ、時折身体をフルッと震わせている。
その様はまるで媚薬でも飲んだかのようで。
「だって、何か凄く気持ちよくて……も、やだ……ジークヴァルト、挿れてぇ……?」
「?!」
……は?と、ジークヴァルトは思う。ジークヴァルトからしてみたら『効率は悪いが魔力供給する方法』が今終わったところだ。
大自然の空の……しかも聖白竜の背中の上で致す事なく魔力を注ぐ。そのミッションを完遂したと思ったら、避けたはずの事柄をスコンと求められてしまった。
「ジーク……ジークヴァルト……ねぇ……」
いつの間にか目の前には、胸当てを取り払いジークヴァルトがいつも命令するようにブラウスのボタンを取って、おっぱいを引っ張りだしてジークヴァルトの口に捧げるように持ち上げられた……たわわが先端をピンと尖らせてジークヴァルトに食べられるのを待っていた。
そしてジークヴァルトの上に跨るように乗って股間を擦りつけるように腰を揺らす希美子。
「は……あ、はあ……あ……ンッ」
完全に出来上がってしまっている。
(……これは)
まるで媚薬でも盛られたかのようなツガイの惨状に、ジークヴァルトは初めて希美子に口付けた時も確か魔力を注いだはずだった事を思い出していた。
あの時はこんな事にはならなかった筈だ、なのに何故?
しかし、すぐにジークヴァルトの唇にくにくにと擦りつけられるソレに考えるのは後にしようと思い至る。
――ちろり
少し先端を舐めてやっただけなのに、ジークヴァルトのツガイは大袈裟なほど仰け反るように跳ねた。
このままでは危なそうなので、ジークヴァルトは手早く前を寛げると、既に下着を取り払っていた愛液でぐちょぐちょツガイのソコに自分の楔を打ち込んでおく。
「あっ……ああっ……アッ」
すると希美子は挿入で軽くイッた素振りを見せたのに、直ぐに自分で腰を振り出した。
ジークヴァルトの顔を髪の毛を掻き抱きながら胸に押し付けて。
これはいよいよ、おかしい。
ジークヴァルトが何も命令していないのに希美子がここまでするなんて。
(口からの魔力供給は……催淫効果でもあるのか……?)
そうとしか考えられないし、実際そうなのだが……今発見する事になるとはというタイミングである。
致している最中に敵とバッティングするのも間抜け過ぎる。ソレならば――
ジークヴァルトが本気を出すだけである。
「……おい希美子、俺を使って何オナニーしてやがる」
「ッ……あ……お、なにぃ……?」
「そうだ、仕方ねぇから胸はしゃぶってやる。ココは自分で弄って腰を振れ」
そう言ってジークヴァルトは希美子の手を彼女の小さな豆に誘導してやる。
既に愛液でぬるぬるに濡れたソコは、少し触れただけでもとても悦かったようで……。
「き、きもちぃ……じぃくの、おちんちんで……オナニー、きもちぃ……」
「………………そうかよ」
希美子は腰を必死に振りながら、自分で豆を捏ねまわした。
ジークヴァルトは希美子の胸の先端を舐めあげて、尖った先端ごと乳輪を口に含んだ。
吸い上げるようにしながら先端を口の中でチロチロと嬲り続ける。
「ああっ――じぃくっそれっきもちいぃっ!ジークヴァルトにおっぱい吸われながらおなにぃきもちぃいっじぃくのおっきいおちんちん挿れながらオナニーきもちいぃっ!」
「………………」
……それは果たしてオナニーと呼べるのだろうか?
まあ、しかし、言わせたのはジークヴァルトなので。
「ねぇじぃくっ奥、ごりごりって、してぇ?……じぃくにゴリゴリってされながら、おなにぃっしたいのっああっそんなに強く吸っちゃっあああっ――」
「……おい、どうした?気持ちいいかよ?」
「あっあっあっ……ジークの、ちんちん……奥にごりごりって、オナニーきもちぃっあん!あっあっあっ奥ぅっ突かれながらっオナニッきもちッイイ――――」
「………………」
だからそれは果たして……。
かくして、ジークヴァルトが本気を出すまでも無く、それから三回ほど果てた後に希美子は眠るように気を失った。