14.落ち人さんはピクニック?を楽しむ?※

 希美子達が後にした冒険者ギルドの執務室で、残された二人はため息を隠そうともせずに疲れた様子で話していた。

 「はぁ……ジーク君、別人みたいだったねぇ……」

 「そうですね、しかし、落ち人様を頂いたと言うのなら十分説明のつく範囲内です。むしろ彼は随分理性的な方ですよ」

「そう言うもの?……まあ、イストール君が言うならそうなんだろうけど……」

 イストールと呼ばれた男は、涼しげな目元を伏せジークヴァルトの目の前でギルド長と話していた時のやり取りを思い出していた。

(少し、煽ってみましたが……乗っては来ませんでしたからね。あれなら、落ち人様――希美子さんの魔力定着が済めば十分復帰可能でしょう)

 先ほどの『青姦』発言、あの程度でもブチ切れるような『ツガイ』にイストールは心当たりがあった。

 まあ――彼の父親なのだが。

 A級冒険者のジークの資産は既に十分遊んで暮らせる程の物だとイストールは踏んでいる。

 これを機に引退なんて言われる可能性も十分にあったのだ。

 それを思えば今回のキャンセル――は、痛い事に変わりは無いが、今の彼の様子を見る事が出来たのは僥倖だったと言える。

「でもどうするのさ、ドラゴン?僕がちゃちゃっと行ってやっつけて来る?」

「獣人国にクレーターこさえる気ですかアンタ。国際問題になりかねませんよ、使えない戦略兵器は大人しくしてて下さい」

「えぇ?!」何て不満そうに声を漏らすギルド長だったが、実際彼が行けば災害に対して災害で対処するようなものなのである。

 彼は戦士としてはそこそこと言ったレベルなのだが、広範囲魔法に関してだけは天才と言っても過言ではない。

 問題は戦略兵器レベルの広範囲魔法しか使えないところだ。チマチマ斬りつけるか、ドカンと一発辺りを更地にするかの二択しかない。

「じゃあ、イストール君が行く……?」

「私の執務を代われる人間がいるなら、それも良いでしょう」

「えええ?!人件費が凄い事になるじゃない?!今回の報酬、ギルドの取り分も含めてなくなっちゃうよ?!えっと、王宮の文官さんを数十人位借りられないかなぁ?ほら、今回の依頼主に言えばさ!」

「それでも足りないとは思いますが……守秘義務もあるので国の人間は却下ですよ、本部に応援を頼むのが一番現実的でしょうね」

 その場合でも、依頼の報酬は人件費で大分持っていかれる事になる。

 イストールに入る報酬は、仕事に対して大分割に合わない。

「君、何で冒険者ギルドの職員なんかしてるの?現役の方がずっと稼げたでしょう?」

「安定と安全、保障は一番の財産ですから」

「……君って本当に変わってるよねぇ」

「ギルド長には言われたくありません」

 ――

 ――――

 ――――――

「ね、ねぇジーク……依頼のキャンセルって、私のせい……っていうか、私の為、だったんだね……?」

 冒険者ギルドを出てしばらく青姦で頭がいっぱいだった希美子が正気を取り戻したのは、神殿とは反対側にある丘への道すがらだった。

 街中のおもちゃ箱のような賑やかな雰囲気と違い、青々とした芝生が眩しい――希美子の住んでいた場所で言う所の自然公園のような風景が広がっている。

 緑に人の手が入り、転々と立ち並ぶ木々からの木漏れ日が眩しい。

 希美子達は舗装された石畳を登っている最中だ。

「落ち人休暇は当然の権利だ、お前が気にする事じゃ無い……おい、疲れたら言えと言っただろうが」

「えっ?!」

 そう、希美子は疲れていた。

 何故なら地球にいた時、旅行以外でこんなに歩く事などなかったからだ。

 ジークヴァルトの回復魔法もあるし、此方に来る時に女神が肉体を作った時、元の貧弱な身体よりは丈夫に作ってある筈ではあるのだが……。

 ジークヴァルトは希美子の返事を待たずに、アイテムボックスと思われる空間からスルリと厚手の布を取り出すと、木の根元に広げる。

「あ、えっと……じゃあ少し休んでもいいかな?風も気持ちいいし……なんかピクニックみたいだね?」

 レジャーシートのみならず、大きめのクッションまで出てきて、木の根元に背もたれのようにして置いて、希美子は其処へ座らされた。

 そして、その柔らかさともう一つ驚くべきポイントがあった。

「ただの厚手の布かと思ったら、綿が入ってるの?フカフカで……下の石とか全然感じないね?」

「……快適でよかったじゃねぇか」

「うん!きもちいね、ありがとう!」

 希美子が厚手の布と称したレジャーシートは、ある魔物の皮――高級素材なのだが此処には誰一人ツッコミをいれるものが居なかった。

 それどころか、ジークヴァルトはボックスから今度は無言でタンブラーを取り出して希美子に渡す。中身は果実水だった。

「ねぇジーク、今どこに向かってるの?」

「……家だ」

 そう言えば言ってなかったと気付いてジークヴァルトの返事が少し遅れたが、希美子は気にした様子もなく質問を続ける。

「家?……お友達とか……?」

(こんな場所に住んでるなんてきっとお金持ちだよね、明らかに高級住宅地だし……整備されてる土地の割に家なんて殆ど無いし……敷地スペースが広いんだろうな)

「……俺の、家だ」

「えっ?!」

 希美子はジークヴァルトの言葉が一瞬理解出来なかった。

「え、だって……森の中の家は……?」

「アレは自分で建てた、コッチは貰いもんだ。……依頼料の代わりに領主の息子から渡された」

 待て、ツッコミ所が沢山ある。と、希美子は思った。

「ちなみに、ここは既に敷地内だ」

「?!!?!」

 ジークヴァルトがそう言うと、彼の周りにしゅるりと風が発生し――――ケモ耳獣人が爆誕した。

「え、え?!え、ジーク?!隠してたんじゃ無いの?!」

「……やはり気付いてたか。心配要らない、敷地内に居る人間は外から見えないように結界魔法のアーティファクトを設置している」

「え!凄い?!……でも壊れてたりとか……」

「……そんなもん魔力の流れで直ぐにわかる」

 そ、そうなんだ……?と、力無く言った希美子は次の瞬間――空を仰ぎ見ていた。

「え……?」

「さっきは随分と期待の篭った顔で見てくれやがったな?」

「え?……え、え?!」

 緑の芝生の上、いつの間にかジークヴァルトに押し倒されていた。

「『青姦』に興味深々だったみたいじゃねぇか」

 希美子はギクリと肩を跳ねさせて、そっと目を逸らした。

 しかし、ジークヴァルトはそんな事はどこ吹く風で――まるで差し出された形となった希美子の耳元に唇を寄せると。

「大方、俺に外で犯される想像をしてただろう?」

「っ!」

 希美子はジークヴァルトの声が、実は堪らなく好きだと思った。

 低くて――唸るような、掠れた声で囁かれるとアソコが途端に切なくなる。

 はじめての時の彼が、口数少なくしてくれた事に希美子はこれから先、一生感謝するだろうと思った。

「ジ……ジークヴァルト、待って――アッ……」

「――待たねぇよ」

 真っ赤な顔を逸らしながら制止を口にした希美子の説得力の無さたるや。

 ジークヴァルトは試しに希美子のスカートの中へ手を差し入れて、彼女の中心に触れてみた。そして触れた瞬間に喉を鳴らして嗤った。

「お前のココは――本当にだらしがねぇな?」

「……って……ジークが押し倒したりするから……」

 ギルドを出てからこっち、時折ほんのりと香る希美子の匂いにジークヴァルトは気付いていた。それでも気付かれまいとする希美子が可愛いかったので気付かないフリをしていたのだ。

「違うだろう?ずっと、こうだったろうが?」

 ジークヴァルトは希美子の耳元で囁きながら蜜壺の入り口を下着の上から捏ね回す。

 すぐにクチュクチュと卑猥な音が鳴り出した。

 そして空いている方の手で、ディアンドルのブラウスのボタンを外して行く……すると直ぐに双丘の谷間が顔を出して、ジークヴァルトはその谷に舌を差し込むと舐め上げた。

「きゅうぅぅぅんっ……ッ――ンンッ」

 希美子は身をよじるが、ジークヴァルトは逃がさない。ブラウスを開いて、胴衣を少し捲ると――そこには可愛らしいピンク色をした希美子の乳首がぷっくりと顔を出した。

 その僅かな隙間に舌を差し込むようにして硬く腫れた先をチロチロと甚振ると、大げさなほどに希美子の身体が跳ねた。

 ジークヴァルトは、おや?と思う。

 外と言う開放的な空間がそうさせるのか、それとも着衣の隙間から嬲られるのが好みだったのか。

 どちらにしろ、観察する必要がある。

 ジークヴァルトは先ほどの更衣室でやったような、引っ張り出すことはせずに、敢えて少しめくり上げた隙間から乳首をチロチロと可愛がってやる。

 もう片方は指だけを差し入れて摘みながらコリコリと。

「んあっ――はッ……ん、ん……ん――っ!」

 青空の木の下で、狼獣人に覆い被られて、チロチロと乳首だけを嬲られるその状況に、希美子はギュッと目を閉じながらイヤイヤと首を振るも、脚は忙しなくもじもじとさせている。

「相当イイみてぇだな、随分と匂いが濃くなってるぞ?漏らしてんのか?」

「ち、違っ……アッ、や……ふうぅンッ」

 獲物を狙う野生のように、ゆっくりと大きな尻尾を左右に揺らしながら、女の乳房を貪る狼の瞳は妖しく光って、その痴態をつぶさに観察している。

 ちゅるりと吸って、唇で食んで、持ち上げるように引っ張っては落として、ぷるんと可愛らしく揺れるソレを楽しみ、弄んでいる。

「も、ジーク……お願……下も――てぇ……?」

 とうとう陥落した彼のツガイは涙目で縋るように懇願してきた。

「いいだろう……てめぇで俺に見せてみろ、何処を、どうしてほしい……?」

「あ……あっ、ぅ……うぅ……ッ」

 また、ジークヴァルトは恥ずかしい命令を希美子に下した。

 一瞬どうしたら良いのかわからなかった希美子だが『彼』に、『見せる』という単語だけを拾い、欲望のままに行動する。

 おずおずと、スカートに手を掛けて、少しづつ自分で捲り上げて行く。

 ソレに気付いたジークヴァルトは、一旦身体を離すと、希美子のその痴態を見下ろしていた。

 膝丈のスカートは、すぐに上までたくし上げられて、希美子の下着が外に晒される。

 丘の風が希美子のアソコを撫でてスゥと冷たい。此処が外なのだと、嫌でも知らされた。

「じ……くぅ……ッ」

「……なんだ?」

 希美子は自分からスカートをたくし上げて、ジークヴァルトがそんな自分の卑しい姿を嗤って眺めている。そんな状況にまで感じてしまう。

「な……舐め……てぇ――――ッ?!!」

 おねだりを終えた瞬間、ジークヴァルトは希美子の腰を高く拾いあげると、希美子が持っていたスカートの裾を引ったくり、希美子の顔に覆いかぶせてしまう。

「ッ?!!――ッ?!」

「大人しくしてろ、上手に出来てる内は気持ちよくしてやる」

「――――ッ」

 希美子は自分の今の姿を想像して、限界まで羞恥が煽られた。

 ジークヴァルトに自身の腰を高い位置で固定され、スカートは逆方向へめくり上がった状態で上半身を完全に覆い隠している。

 ショーツとブーツを履いた生脚は完全に晒された格好だ。

(またっ――こんな、恥ずかしい格好――ッ)

 その時、希美子から見えない彼女の中心から、ぴちゃりと言う音がして。

 待ち望んでいた快楽が希美子に訪れたのだった。