「く……うぅ…… 」
「ゆっくりです、庸介さんゆっくりですよ? 指先をくにくにさせながら挿れていくのです! 」
庸介は先ほど約束させられてしまった『自分で尻穴に指を挿れる 』と言う行為をやらされていた。
左手は拘束されたままなので、そちらを下に横になる形で右手の中指で探るように……一方聖女様は、彼の尻を覗き込んでガン見しながら嬉しそうに頰を赤らめている。
「お腹の、色んなところに力を加えてみて下さい。どこかでお尻の穴がユルクなる場所がある筈ですから! がんばって! 」
「………………」
かつて美しい女に応援されて、こんなに嬉しくない事があっただろうか……いや、そもそも美女に応援された事がなかった。
庸介は少し落ち込んだ。
さっきから彼女の荒い……鼻息と思われるものがケツに当たってなんとも微妙な気分だ。
たまに、彼女の前髪が玉にサラサラと当たってくるのがちょっと気持ちいいのも嫌だ。
(…………ん? )
雑念で忙しかった庸介が、何かに気付いて指の動きを止めた。
(なんか今……こう……こうか……? )
「ッありましたか庸介さん⁉︎ 」
「…………………… 」
すっごく楽しそうな、嬉しそうな声が聞こえて思わず庸介は脱力し……そんな彼氏におかまいなしで喜ぶ聖女は再びよくわからない指示を飛ばす。
「次は! 奥にある『第二の肛門』を探すのです‼︎ そこがクリア出来れば平均的なイチモツくらいは入る筈だと書いてありました‼︎ 」
「何にだ⁈ 」
「『ビーエルボン』と言うジャンルの小説です‼︎ 」
「」
残念ながら庸介はBLを知っている。
「聖女様とセックスしてぇ 」とか言うだけあり、庸介はゲームがそこそこ好きだ。漫画だって読む。
人並みにネットを閲覧していれば、その単語を見聞きして検索してみる事だってあった。そしてその時見てしまった画像の数々は、彼にとって若干のトラウマでもある。
彼は「女の子はあんなもの見ない筈」と思っていたので。
そんな記憶の彼方へ封印していた現実と、しかもはじめての女との情事(?)の最中に異世界で再会することになろうとは……。
「どうしたのですか?! 庸介さんの庸介さんがションボリしてますよ?! 気持ち良く無いです?! 」
「………… 」
オリエンヌが食い入るようにソコを見つめながら庸介に問いかけるも、そんなものに返事をする元気が今の彼にはなかった。
「……仕方ないですね! 一肌脱ぎましょう! 」
(…………あ? )
一瞬、思考と視線が遙か遠くへ行っていた庸介は呆けた表情のまま何の気なしにオリエンヌの方を見――
「うわあ⁈ ばかっ! 物理で脱ぐな! 」
「とりあえず、ゆるめるコツは掴んだようなので! ここはもう私の出番かと! 」
オリエンヌは再び白い詰襟の聖女服の前を寛げて、おっぱいをチラチラ見せながら庸介の脚の間へスタンバイした。
そして、ちゅぽんっと庸介の指を抜き取ってしまう。
「ッンア⁈ ――うわあ⁈ 嘘だろ……待っ……ァ……んうっ⁈ 」
間髪いれずにジェル状のぬるぬるとした液体を、指でたっぷり庸介の尻穴へ塗り付けて――ついでのようにオリエンヌの細く美しい指先が代わりに侵入した。
「大丈夫……大丈夫ですからぁ……はい、ココですか? こうかな……? 」
「あっ⁈ ァアッ……ちょ、やめ……ァ……ァアッ⁈ 」
脚は二つ折りに紐で固定され、美しい生き物が間にいるせいで恥ずかしいほど開いたまま……尻穴を弄られはじめてさすがの庸介もプチパニック状態のまま、女のように喘ぐ自分に衝撃を受けつつも声が抑えられない。
「あっあっあっやめっ……そんな掻き回すなっ! ァッ……ソコ…… 」
「ああ……凄いです……私いま、庸介さんのお尻の穴に指突っ込んでます……ヌポヌポするの気持ちが悦いです? ……あ、おちんちん元気になってきましたね。素直で良い子はナデナデしてあげないとですね! 」
「――アァッ! あっァ、アッ! 」
尻の下に枕を敷かれているせいで、ゆっくりと探るように中を掻き回したり、ヌポヌポと出し入れしていく白い指の様子が見えてしまう。
それだけでも、いっぱいいっぱいだったのに。オリエンヌはあろう事か先走りタップリの庸介の亀頭を手の平で包むように撫で回しはじめた。
尻の穴でなんて感じたくない、でも感じてしまう、嫌だ、止めろと首を振っていた庸介は、尻穴と亀頭の二箇所を同時に可愛がられてあまりの気持ちよさに目を見開いて喘ぐ事しか出来なくなった。
「……裏筋も舐めてあげますね、ほら……こう、何往復も……んむ、した全体で……舐め上げて、ふふっ庸介さんのお尻凄く締め付けてきます。気持ち悦いんですね……うれひいれす 」
「ッ――、ッ――――!! 」
ウットリと横目で庸介を見つめながら怒張をなめあげる銀髪の聖女は、全身硬い筋肉に覆われた逞しい雄が両脚をそれぞれ折りたたんだ状態で紐で固定され、股を開き、快楽に夢中になって身体を強張らせながら強請るように腰を浮かせる姿を堪能している。
(ああ――可愛い、私の愛撫でこんなに感じてくれるなんて……癖になってしまいます。もっと見たい、もっと快楽に夢中になる庸介さんがみたいです……)
不意にうす目を開いた庸介と視線がが合うと、安心させるように慈愛に満ちた微笑みを返す聖女。
「感じてる庸介さんはとても魅力的です、すごくドキドキしてしまいます…… 」
口をやんわりと半開きにしたまま、切なげにそう言った聖女のなんと美しい事か。
「ンアアッ……ちょ……ァ……アッ 」
尻穴を弄られながら、先走りに汚された手のひらをゆっくりと庸介の太ももに這わせながらちゅっちゅ、と濡れたような唇でキスしていく聖女の焦らすような行動は彼の理性をドロドロに溶かしていった。
弄られているのは尻穴の筈なのに、アレが気持ちよく感じるのは何故なのだろうか。
「クッ……ンンッ!……うぅ……ッ アアァァア⁈ 」
「そうです、庸介さんの鳴き声たくさん聞かせて下さい……私、庸介さんの声だいすきです 」
いつのまにか這い上がってきた聖女が、今度は庸介の感じやすい乳首をペロペロと舐め出した。
まるで猫がミルクを飲むようなその様子をうっかり直視してしまった庸介は、ソコから目が離せなくなってしまう。
「目が潤んでますね……? 可愛いです、乳首感じちゃって恥ずかしいのですか? 大丈夫ですよ庸介さん、男の子だって乳首感じて涙目でアンアン言っていいんですよ? あ、今またおちんちん硬くなりました? 乳首舐められて気持ちよくなっちゃっておちんちん硬くしちゃいました? 」
「クッ……あ……いや、あ……ンンッ 」
歯を立てるように擦ってみたり、ちゅるっと吸い付いては舌先で嬲ってみたりとオリエンヌはやりたい放題だ。
庸介は下も上も未知の快感に襲われて、全部が全部訳が分からなくなっていく。
「ヤッ……ァ……だっ……おりっ、エ……アアッ――」
(やめ……ソレ、ダメだ……だめだオリエンヌ、やめてくれ――)
庸介の気持ちを知ってか知らずか、オリエンヌはもう片方の乳首もいじりだした。
最初は乳輪の外側から――中心には触れずに舌先で、触れるか触れないかの距離を時計回りにクルクルと舐めていくとまだ触れてもいない飾りが立ち上がってきた。
「素直でとっても可愛らしい庸介さんの乳首、オリエンヌは幸せ者です。これからずっと、いつでも舐めて良いのですよね……」
んちゅっと、オリエンヌは強請るように立ち上がってきたソレにキスをした。
「んあっ?! 」
「あ、今おちんちんプルってオリエンヌの太もも叩きましたよ? もう、庸介さんのおちんちんはやんちゃさんですね? 」
「はぐっ?! 」
脚をゆるゆると動かして、やんちゃと称したソレを太ももで撫で摩ると庸介は気持ちよすぎておかしくなりそうだった。
このままでは果ててしまう。
理想の具現化と言っていいほど美しい聖女に
尻穴をほじくり回され、乳首を舐められ、脚でペニスを擦り上げられながら果ててしまう。
庸介は自由になっている片手を、震わせながら聖女の頭に置いて、力無く引き剥がそうとした。
いやだ、やめてくれ、と途切れ途切れの言葉を必死に紡ぐが、聖女は止まらない。
「チュッ……んん、嫌じゃ無いでしょう? 庸介さん、気持ちいいでしょう? 」
「き……もち……? 」
「そうです、私に身をゆだねて、素直になってくれたらもっと気持ちよくなれますよ? 気持ちよくなりたいですよね? 」
先程まで舐め回しオリエンヌの唾液でテカテカ濡れたもう片方の乳首、その先っぽを爪先でカリッと掻いてやる。
「アァッ!! 」
「気持ち悦いでしょう? 」
――カリカリッ
「やあっ?! 」
「気持ち悦いですよね? 」
――くにくに
「ううっ……ッ」
「ほら言って、気持ち悦いって 」
――ギュウゥゥウッ
「アァッ! いう! イイ、いいっからァ――」
「どこが気持ち悦いんです? 乳首です? アナルです? ……んちゅッ 」
――ちゅっ、ちゅぱ……れろ
――ヌポヌポヌポヌポ
「やめっ?! ああっ、あっあっあ! 」
「庸介さんのお口以外はみんな素直で良い子なんですがねぇ? 」
――れろ……ちゅっちゅ……ぴちゃ……
――ヌポヌポヌポヌポ
「あ、あ……ッ?!アァァァアア?! 」
「あ、みつけました。ココですね? コリっとしてます 」
オリエンヌがある一箇所をコリコリと指の腹で撫で摩った時の庸介の反応は絶大だった。
「――――ッ――ッ?! 」
逞しい腹筋がメリッと盛り上がり、脚の間にいる彼女を拘束するかのように、力いっぱい挟み込んできたのでオリエンヌは瞬時に肉体強化の魔法を己に掛けた。
尻穴の指もぎゅうぎゅうと締め付けてきたので一旦ソコを弄るのを止めるオリエンヌ。
「――ハッ……ハァ、ハァ、ハァ…… 」
(――な……なんだ……今、なにが……? )
ぷはっと詰めていた息を吐き出した庸介は目を見開いて肩で息をして、いま一体何が起こったのかわからないといった様子だった。
わからなかったが……『これはヤバイ 』と言うのだけは理解している。
これはヤバイ、こんなものを覚えてしまったら自分はもうおかしくなってしまう。それほどの衝撃だった……この『快楽』は。
しかし次の瞬間、指とは別のものがソコに押し入った事を理解したと同時――
――オリエンヌが腰を下ろして庸介のアレを勢いよく蜜壺に飲み込んだ。
「――んああ?!」
――目の前に火花が散る庸介。
「……庸介さんダメですよ、よそ見しちゃ? 」
「……な……な……な? 」
再びオリエンヌの方へ視線を戻した時、彼女は既に頰を赤らめて荒い呼吸をしながら……
出来上がっていた。
ぺろり、と、己の濡れた唇を舐めたオリエンヌは庸介が初めて見る妖艶な表情で言ってのけた。
「庸介さんが素敵過ぎてもう我慢できません、ので。先ほどのポイントまでくらいの長さで初期設定しましたからもういっちゃいましょう 」
キリッと言う効果音が聞こえるほどのドヤ顔だったが庸介を襲うのは凄まじい程の嫌な予感。
「ちょ、待……まさか…… 」
「大丈夫です、最初は弱めの魔力からはじめますから!……では! 」
「おい待――――ッアアァァアア?!! 」
オリエンヌの指の代わりに挿れられたのは例の張り型、彼女の指より一回りほどの太さのソレの先が庸介の感じる場所をピンポイントでグリグリと円を描くように攻め立てた。
「あんっ、あ……庸介さんのおちんちんまで震え……アッダメェ……きもちぃ……こんな……アア――――ッ!! 」
そして、興奮してしまった聖女の指先が触れていた張り型が最大出力で唸りを上げる。
――ウィンウィンウィンウィン
――ヴヴヴヴヴヴヴッ
「ッア――――ッ!? 」
「きゃあああっ?!! 」
――ウィンウィンウィンウィン
――ヴヴヴヴヴヴヴ
「ッ――――ッ――」
「あひいいいいっ?!! 」
――ウィンウィンウィンウィン
――ヴヴヴヴヴヴヴ
「―――――― 」
「あひゃあああんっ!!」
――ウィンウィンウィンウィン
――ヴヴヴヴヴヴヴ
「――――」
「ああぅッ――」
――ウィンウィンウィンウィン
――ヴヴヴヴヴヴヴ
「」
「――」
……この後、聖女の魔力切れ寸前まで続けられた『理論上は二倍の早さで終わる魔力循環』はたった一日で必要量の七割を終わらせる事に成功した。
あと三割も一週間という異例のスピードで終わらせると、聖女の落ち人は神殿騎士になるべく修行を始めたのだった。
こうして、ここピエルネ国では王政が廃止されて以降、はじめての『落ち人様』が遣わされ、『聖職者には落ち人が遣わされやすいらしい』と分析したピエルネはあちこちへ神殿を建てた。
イスターレはレイア神殿の厳しい規律を真似て魅力的な神官や聖女を多く生み出した事で、結果――女神は神官聖女萌え属性の落ち人は殆どピエルネへ送り込む事となり、王政を廃止したピエルネは期せずして宗教国家としての路を歩む事となった。
ただ、後にも先にもこんなアホな方法で魔力循環しようと言う猛者の記述はないと言う事だけは追記しておく。
「……もう一回やれば、魔力循環完了しますよ? 」
「いやもう終わったって知ってるからな? やらねぇからな……? 」