聖セレスの日 ※

「じ……く、ね……お願、もう…… 」

 本当にもう無理。と、希美子は思っていた。

 昨日のアレ、あんなモノは絶対にダメだ、後に戻れなくなってしまう。

 一晩中注ぎ込まれた今、微かに残る理性が先ほどから、けたたましく警笛を鳴らしているのだ。

「……まだだ、さっきも言っただろうが。コレをやるからイイコにしてろ 」

(いっイイコって――?! )

 ジークヴァルトから出た萌えワードに目を回しながらも与えられたソレをちゃっかり掻き抱く。

 与えられたのは、ジークヴァルトの尻尾だ。

 希美子がこの世界へ来てからこっち、希美子がどれだけ獣人萌えなのか、ジークヴァルトは身をもって知る事になった当事者だ。なので希美子を大人しくさせるのはコレが一番と、二人ベッドへ入った頃から珍しく出しっぱなしになっている尻尾を与えたのだ。

 希美子は今、四つん這いになってジークヴァルトに尻を出しているという、希美子至上一番と言っていいほど恥ずかしい格好だった。

 

 ――今、何故こんなことになっているのか。それを説明するには、昨晩ここで何があったかを説明する必要があるだろう。

 寝室へ来るなりベッドへ入るまでに、狼耳ジークヴァルトによって全て剥ぎ取られたのだ。

 変態的獣人愛好家の希美子は、確かにその耳、それから獣尻尾に気を取られた。

 しかしそれだけではない。

 ジークヴァルトの呼吸が、荒々しかったのだ。

 A級冒険者であるジークヴァルトの呼吸が上がるなんてことはそうそう無い。

 情事の時だって、まあ、ラストスパートな時くらいで……それを除けば、希美子が死にかけた時――彼女が助かった後の情事で、ジークヴァルトのアレが見た事のない程に硬くなっていた、あの時くらいである。

 彼が、こんなにも興奮して息を荒げているのは。

 そんなジークヴァルトに希美子は当てられ、目を白黒させている間に衣服を全て剥ぎ取られた。

 後頭部を鷲掴みにされ引き寄せられたかと思うと、食われるような激しいキスをされた。

 その間も、空いている手は胸を揉みしだき、尻尾で腰を引き寄せられた。そのまま尻や背中を何度も往復させて尻尾愛撫がはじまったので、希美子はキスに答える余裕も無いほどそこらじゅう感じてしまい、堪らなくなって涙をポロポロ流した。

 そんな希美子を抱き上げてベッドへ連れて行くと、ジークヴァルトはベッドへと希美子を下ろしてその上からのしかかった。

 ハアハアと荒い呼吸のままで希美子の乳房を舐めまわすジークヴァルトを見ながら、希美子も嬌声が止められなかった。

  ジークヴァルトの唾液でテラテラと光る胸のピンク色の頂は、立ち上がってプルプルと震えて――それを見たジークヴァルトが「ざまぁねぇな 」と言った表情で嗤う。

 希美子の下は既に洪水状態だったのに、ジークヴァルトに命令されて、震える乳首を両方とも、自分の指でコリコリと慰めた。

 ジークヴァルトの呼吸が、また、荒くなった。

 足首を引っ張り上げるように持たれたと思ったら、両脚をパカリと開かれたまま、グイッと希美子は持ち上げられた。

 背中がベッドから離れて、頭だけが枕にある状態。

『え……? え――きゃぁあん?! 』

『すうぅぅううっ――フゥゥン……すうぅぅううっ――…… 』

 嗅がれている。

 お尻の穴の匂いを。

 ピッタリと、形の良い鼻の穴を押しつけて。

『?!!?!!?!!!!!! 』

 ジークヴァルトに。

 お尻の穴の匂いを。

 嗅がれている。

 ――ペロリ

 尻の、穴を、舐められた。

『ぴええぇぇぇええ?!?!! 』

 洗浄魔法をかけるような気配が確かにあった、あったけども、そんな場所を舐められるとは思いもよらなかったため、希美子は盛大にパニクった。

『ああんっ?! だ、ダメ……ジーク汚な……汚ない、からぁ――ッ 』

 ここだけの話、洗浄魔法をかけたのは一発目の匂いを嗅ぎ終わってからである。

 その先、ジークヴァルトのそれは希美子が見たことが無い早さで一気にバキッとフルに勃ち上がった。

 相手の尻の匂いが気になるのは、狼獣人犬獣人なら当たり前の事なのだが――いかんせん、ジークヴァルトは常識人である。

 人族の間では、その性癖が少し変態寄りである事を若い頃に知ってしまっていた。

 なので今まで我慢……もとい、自重していたのだが……酔っぱらったジークヴァルトからは、常識が少し無くなってしまったようだ。

 匂いを嗅ぎ、べろべろと舐めまわされ、尻穴が唾液まみれになっていく。

『どうした? 上の穴からヨダレがダラダラ溢れてくるぞ? 』

(き、気持ちいのが嫌アァァァアア!! す、すっごくお尻きもちいの、嫌アァァァアア―― )

『すうぅぅううっ――フゥゥン……すうぅぅううっ――…… 』

『アアンッ! ひ、ひぃいっ……はぁんッも、舐め――舌でお尻の穴グリグリしないでえぇっ―― 』

 ピッタリと鼻を付けて匂いを嗅ぎ、舌で執拗に舐めほじることを繰り返す酔っ払いジークヴァルト。

 希美子の泉から湧き出るソレが充分と判断して、希美子の両脚をそれぞれ自分の肩にかけると、空いた両手が凶悪化する。

 泉の粘液を指に纏わせて、クリトリスをくりくりと可愛がると、嬌声とともに尻穴がキュッと締まった。

 可愛かったので思わずペロリと舐めると、尻がピクンと跳ねる。

 希美子は文句を言いながらも、自分で乳首に触れる行為を再開し、気持ちよさそうにしている。

 ジークヴァルトは喉の奥でククッと嗤った。

 指に纏わせた粘液を、今度は愛しい尻穴へ塗り付ける。

 ――ぬるぬるぬるぬる……ツプッ……

『ピャアァッ?! だっ?!だ、だめ……じ、ジーク……そ、それだけは……アアンッ?! 』

 希美子が何か言おうとした所でジークヴァルトは、泉の湧き出るソコへ己の太い舌を。

 それを抜き差ししながら、尻穴を可愛がる手とは別の手でクリトリス摘んで優しく指で揉みはじめた。

『ぁああアァァァアア―― 』

 希美子はもう訳がわからない。

 下がもう、何から何までぐちゃぐちゃで。

 訳がわからないくらい――気持ちが悦過ぎた。

 あーあーと、嬌声を挙げながら腰をくねらせ胸を弄りながらジークヴァルトの目を見つめ続ける希美子に、ジークヴァルトはなんだか無性に愛おしい感覚が生まれた、ので。

 ――ズボッ

『んむーんんー!!んー!! 』

 己の尻尾の先を希美子の口めがけて突き入れたら。

『むふふーん!!んんーん!!むふーん!! 』

 なんかめちゃくちゃキラキラした目で興奮しまくっている。

 ジークヴァルトは少しだけ萎えそうになったので、尻穴に差し込んだ指を二本に増やした。

 その時――

『んんーー!!! 』

 希美子がイッた。

 ジークヴァルトは再びなんかちょっと残念な気持ちになったので、蜜壺から舌を抜くと再び尻穴の匂いに集中する事にした。

 二本の指を抜いた瞬間の、パクリとゆるいソコに夢中で鼻を押し付ける。

 いい匂いだ――そう、ジークヴァルトは恍惚とした。

 絶頂に達したすぐ後の、ツガイの尻穴の匂いである。

 狼獣人にとって、これほど堪らないものは無い。尻に頬擦りせんばかりの勢いで、ジークヴァルトは我を忘れ――否、とっくに忘れているのだが――希美子の尻に顔を埋めてその匂いを嗅いだ。

 いつのまにか希美子の口を離れた尻尾はブンブン音を鳴らしている。

 なので気が付かなかったのだ。

 背中に当たる、硬くて熱いモノに気付いた希美子が、ジークヴァルトが尻に夢中で気付かないのを良い事に「あんあん」感じながらも、少しずつお互いの体勢を変え――

 ――ぱくり。

『っ?! 』

 と、ジークヴァルトのジークヴァルト君を食すまでに至ったことに。

 考えても見てほしい。

 これ以上無い、最高に性的な最高の匂いを、ちんぽギンギンにおっ勃てて嗅いでいた獣人男子が、雌に口で奉仕なんてされた時にはどうなるのか。

『んむう?!??! 』

 ガッと希美子の首にジークヴァルトの尻尾が絡みつき、咥えた体勢のままで固定された。

『ガッ……ガルッ――フーッフーッ 』

 上体を捻るようにして咥えていた希美子の体勢を思ったのか、軽々と腰を持ち上げると、ジークヴァルトの上で伏せるような格好で四つん這いにされた希美子。

『フッフゥゥウウ――フガッ! 』

 お尻を両手でガッと掴まれ、尻穴に鼻が入るんじゃ無いかと言うほど希美子の尻に顔を突っ込んだジークヴァルトが、猛烈に腰を跳ねさせ希美子の口に抽挿をはじめた。

 驚いた希美子は妙子に教わっていた身体強化を即座に喉にかけた。

 しかし、それに気付いたジークヴァルトの動きがより激しさを増す。

『んんんんん――?!! 』

(じ、ジークが私のお尻の匂い嗅ぎながら、お、オナニーを?! )

 希美子は今のこの状況を思って堪らないモノを感じた。

 いつも口が悪いと自分で言いながらも、希美子の快楽を一番に優先している節のあるジークヴァルトが我を忘れて見せたのは、希美子が死にかけたあの夜――あの一回だけである。

 口は悪いし目つきも悪いけれど、誰よりも優しくて誰よりも希美子を優先してくれるジークヴァルトが、我を忘れて腰を振っている。

 彼は今、そんなに悦いのだろうか。

 口の中にある焼けそうなほど熱くて硬いソレが、希美子は愛しくて仕方がない。

 固定され抽挿されている状態では出来ることも限られている。

 しかし、希美子はそれに吸い付き吸い上げ舌を絡ませた。

『グッ……ガァアアア!!? 』

 獣性丸出しのまま、ジークヴァルトが吠えた時、希美子の中のソレもビックーンと跳ね膨らみ――爆発した。

 次から次へと喉に叩きつけられるソレを、希美子は必死になって飲み下す。

『んっくっんっんっん! 』

『フーッフーッフーッ 』

 ……出したはずの、獣人の息遣いが興奮の頂点のような荒さだった事に、希美子ははじめてと思われる精飲に必死で気付いていない。が、次の瞬間。

『希美子、挿れるぞ 』

『え? 』

 目の前にあったはずの、ジークヴァルト君が突如姿を消したと思ったら希美子の穴に充てがわれた。

『え、ちょ?! 挿れるってそっち――きゃああああ?!! 』

『ッ――! 』

 ……希美子は知らない事であるが、女神セレスは落ち人のツガイに合わせて、ある程度落ち人の身体を柔軟に作り替えている。

 希美子の場合、尻に対して並々ならぬ執着を発揮する狼獣人のツガイになるからにはと、情事の時に少し解せば同じ狼獣人並みに雄のソレを受け入れ可能な仕様になっているのだ。

 もちろん、気持ち悦くなるようにもできている。

『おい、ずいぶん……きもち、悦さそう――だな!? 』

『アアンッそん、そんなこ―― クリちゃん一緒ダメェ――ッ 』

(うそうそうそうそ?!!? な、なんでこんなに悦――?!??!! )

 バックの体勢のまま、脚をもちあげられ肩にかけられヌルヌルのクリトリスを三本の指を使ってかき鳴らされた。

『あああああ――!! 』

 気持ち悦い気持ち悦い気持ち悦い気持ち悦い――

『今日はココが俺の匂いになるまで注いでやる 』

『そん――アン!? 』

 洗浄魔法があるせいで、前の穴も後ろの穴も関係無く好き勝手に好きな時に好きな方を犯されまくる。

 前後不覚――

 希美子の、気持ち大きな胸を形が変わるほど激しく揉みしだきながら、前を後ろを犯して注ぎ続けた。

 うっかり希美子が言った一言で、獣化した通常狼サイズの四足歩行型に姿を変えた時――獣性全開のその姿にはその時の希美子の尻の状態は刺激が強過ぎて『我 』どころか『人間性 』を失い、四足歩行のまま希美子にツッコミ、コブをこさえ、そのまま明け方まで狼ジークは腰を振り続ける事になった。

『本当、回復魔法覚えてて良かった……あと、魔力がジークと同じ量で良かった…… 』

 とは、後日の希美子さんの言葉である。

 そして、今――

「ね、ジーク……もう大丈夫? 」

「……そうだな、ココが馬鹿になるようなやり方はしなかったらしい。もう大丈夫だ 」

 そう言ったジークヴァルトは、希美子の尻穴から指を抜いた。

「………… 」

「…………ね、ジーク 」

「…………………………なんだ 」

「ジークヴァルトってお尻の穴が大す――ふべし?! 」

 希美子が言い終わる前に、四つん這いのままだった希美子の頭をジークヴァルトが沈めた。

 そして、沈めた希美子の耳元に唇を寄せたジークヴァルトは、言い含めるようにゆっくりと低い声で告げる。

「昨日の、事は、忘れろ、いいな? 」

 ひさびさの俺様何様ジークヴァルト様の降臨である。

「……朝は俺が用意する、もう少し休んでいろ 」

 それだけ言うと、ベッドのすぐそばに落ちていたシャツを羽織って出て行った。

 なお、朝方に酔いが引いて一気に我に帰ったジークヴァルトさんは、まずズボンを履いた。

 なので裸シャツでは無い。

「ジークヴァルト!私も癖になっちゃったからまたしてね! 」

 ――ゴンッ

 開けたドアにそのまま強かに頭をぶつけた後、ジークヴァルトは返事もせずに一階へ降りて行った。

「……でもそっかー、狼獣人だもんねぇ……お尻の匂いは気になるかぁ…… 」

 ――ガッシャアーン

 呟いただけの希美子の言葉が聞こえていたかのようなタイミングで、階下のキッチンから音がする。

 この後、しばらくの間ジークヴァルトは数々の属性の中に『ドジっ子 』と言う属性を迎える事となった。