異世界アントワールには、今宵も神に愛された者の下に落ち人が贈られる。
落ち人――愛されし者の為、神に選ばれた運命のツガイ。
彼らは、アントワールに身体を定着させる為の契りを交わさなければ死ぬことになる。
これはアントワールの人間ならば、人族獣人魔人問わず誰でも知っている常識だった。
落ち人達は、はじめ誰しも夢かうつつかと戸惑うものの一度ツガえば受け入れざるを得ない。
その抗い難い愛しさに、快楽に落ちていく、だから『落ち人』というのだと誰かが言った。
神の定めた運命からは逃れられない、落ちればもう抜け出す事などできない。
それが神に選ばれた者の、ツガイになるという事――
ここはアントワールの人族の国、イスターレ王国の二番目に大きな街レイア。
今日は成人の祝い祭りが行われていた。
齢15となった新成人の女性は白い花を髪に挿し、男性はジャケットの胸に赤の花を挿して中央広場から丘の上に建つ白亜の神殿へと練り歩く。
神官長の祝いの言葉と、この世界に伝わる伝説というには身近な現象に対する対処法を伝授される。
「――落ち人が現れたならまず口付けを交わす事」
十五になったばかりの新成人達には少し刺激の強い話しをしているのが神官長殿がこの度の主人公である。
「落ち人は信心深き信徒に対し、神がお恵み下さった運命のツガイ。見捨てれば己のみならず貴方がたの大切に思う人間にも神罰が下るでしょう」
神官長ユリウスは美しい銀髪を背中に流し、透き通った声で新成人達に語りかけていた。
白い神官服は銀色の蔦の刺繍が施されており、袖も裾も長く、首元は詰襟で手にはこれまた白い手袋という禁欲的でありながら、腰のラインはシルエットがはっきりとしており逆に想像を掻き立てる仕様である。
伏し目がちの瞳は長い睫毛に縁取られ影を落としていたが、菫色の瞳はまるで宝石のように少女達を釘付けにしていた。
神殿で生まれ神殿で育ったユリウスからしてみれば、彼女達がいくら行儀よくしていたところで土のついた芋のように見えている。
だからと言って事あるごとに祭事で自分を指名してくる貴族のご婦人達は、香水を付けた砂糖菓子――要は食えたもんじゃない――に見えるのだが。
芋は洗って蒸せば食えるが砂糖菓子は洗えば無くなるので、ぎりぎり市井の少女達に軍配は上がっている。芋だけど。
「ヨナス、地方祭事の書類は出来てますか?」
所変わってこちらはユリウスの執務室。
神官と言えどもお呼ばれしてお説教してるだけが仕事ではない、世知辛い世の中なのだ。
大規模な都市の神殿ほど執務を抱えている。
「戻るなりどうしたんです?また今年も悪ガキがいましたか?って俺を睨まないで下さいよ?!美人の睨みって強烈なんですからね?!おぉ怖っ」
ユリウスと目が合うなり大袈裟に怖がって見せた男は、ヨナスと言って元は貴族の三男坊だったが、女癖が酷すぎて神殿に送られてきた男である。
こうした貴族流れの神官は、全てユリウスの元に送られてきた。
それと言うのも――
「お母様譲りなんでしょうがその瞳は女王陛下と瓜二つ過ぎて心臓に悪いんですよ、もう……」
「その話はするな、私の母は王族ではない」
「王妹殿下は『王族では無くなった』でしょう?気持ちはわかりますがね、俺たちの中にも面倒な奴はいるんですから敢えて言わなくてもいい事は口にしない方がいいですよ?」
「神殿育ちの私に貴様らのやり方を押し付けるな。ここには貴族は一人も居ない、そして私は神官長だ。言いたい事は分かるな?」
「……十分貴族的なやり方だと思いますけどね」
「何か言ったか?」
「いえ何も?」
ユリウスが不機嫌なのには勿論理由がある、毎年いるのだ。
落ち人に遭遇したのならばまず口付けを、落ち人の呼吸が落ち着いている間につがえと言う下りで。
『それってどう言う意味ですかぁ?』
『番うってナニをどうするんですかぁ?』
と、決まって街の悪ガキと言われた輩達が度胸試し感覚で聞いてくる。
それなりに権威があるとされる神殿の神官長に向かってどこまで許されるのかと言うのが彼らなりの度胸試しなのだろうが、そう言った輩はユリウスが何か言う間も無く神殿騎士とユリウスファンの女性新成人に追い出されるのだが此度は去り際に
「神殿生まれ神殿育ちの童貞野郎!」
と捨て台詞を残してくれた輩がいたせいで、残った新成人達の視線が不愉快極まりなかったのだ。
勝ち誇ったかのような男子の視線はいっそ清々しいのでスルー出来るが、一部男子の仲間意識の篭った視線は非常にイライラさせられたし、先程までキラキラとユリウスを見ていた女子は真っ赤になって俯くか、キラキラをギラギラに変えて凝視してきたのもゾッとしない。
(しばらく一人で市井に下るのはやめよう……)
「しっかしさすが若さというか、ウブですねぇ。こんなエロいナリしてる神官長が童貞でいられる筈無いじゃないですかねえ?」
またいつものがはじまった。と、ユリウスは思った。
ナチュラルに無礼な言い回しをされる事にも慣れたものだ、彼には悪気がないので注意した所で無駄と気付くまではイライラされられたものだが最近では腹も立たない。
ユリウスは付き合いきれんと言ったふうに溜息一つしてみせてから堅物神官長の仮面のまま執務に移った。
「実際ねぇ、神官長のはじめてってどんなでした?あ、精通前のものは入れないで下さいね?」
何を言っているのだ?とユリウスは思った。
精通前にどう致すと言うのだと。
「俺としては15年前勇者と旅に出た聖女様あたりが怪しいと思ってたんですけどね?なんかあの人凄かったらしいじゃないですか?」
15年前と言えばユリウスが12歳の頃である。
神殿に隣接している孤児院に居たし、聖女が来るときには何故か母の侍女だったという女性が毎回面会に来ていたのでユリウスは聖女に会った事すらない。
「それとも男色の神官に襲われ……」
「私を襲ってきた人間がどうなったか知りたいか?」
「はいすみません、知ってます許してください」
例の侍女が面会に来ては護身術だの嗜み程度の魔術だのと仕込んできたせいで、ユリウスは孤児院を出て神殿へ来る頃にはその辺の冒険者よりもよっぽど腕が立った。
ならばそのタイミングで神殿を出ればいいのにと思うだろうがユリウスは違った。
神殿生まれでありながら王妹の息子という少々特殊な身の上であったユリウスは幼少期からどこか既に老成していた。
伝え聞く外の世界や冒険とはただただ面倒で非生産的なモノに見えたし、実際ユリウスが外に出たりしたらさすがに王家も黙っていないだろうと言う思いもあった。
痛くもない腹を探られる事になりかねない。
ユリウスは模範的な神官として、そして貴族達の鼻摘まみ者の受け皿として、一生を神殿で過ごす事が最も己の安寧に繋がると理解していた。
ともあれそんなこんなで腕の立つユリウスを組み敷けた男も女もいない訳で。
模範神官として日々清廉さを失わず生きてきたユリウスは――
「はぁ今日も聞けなかったかぁユリウス様の床事情……」
「愚か者、さっさと神殿騎士にその書類を渡してこい」
「はいはい行ってきますよ!じゃ!」
そろそろユリウスの忍耐も限界かと見るや否やヨナスはサクッと話を切り上げてそそくさと部屋を出て行った。
「……行ったか……まったく、有りもしない事情をどう語れというんだアイツは」
ユリウスは――童貞だった。
「神殿生まれの者は、生まれ付いたその時より神のモノ。その心もその身も神の為にあるのだから私にそんな事情などある筈が無いとなぜ思い至らない……?」
……しかも神殿の純粋培養童貞である。
しかし「何か面倒そうだ」という理由でこの事は誰にも言ったことが無いユリウスだった。
人知れず首を捻る純粋培養神官長はその美しい顔を悩ましげに歪めひとりごちると、執務室の空間に魔力の歪みが生まれた事に気付いた。
「なんだ……?このカンジは……魔力行使とは違う、どちらかというと神力――祭りの祭壇に生まれる歪みに似て――」
分析しつつ、歪みの中心を瞬時に見極め視線を送るとそこには小さな光の砂のような物が集中しはじめた。
「っ!」
ユリウスはすぐさま警戒態勢を取り、執務室の空間を外界と切り離す魔術を行使した。
そして己を守る為の結界を張ろうとしたその時……
「――女……?」
光の砂がその光を失った時、中から現れたのは成人女性だった。
「かはっ……はっ!?」
見たことも無い……素材すら想像もつかない衣服に身を包んだ黒髪の女性は己の首を苦しげに押さえその場に倒れ込んだ。
――落ち人?!!
ユリウスはすぐさまその最適解に行き当たる。
そして、模範神官であるユリウスは何を考えるよりも先に身体が動いていた。
毎年のように新成人達に言って聞かせて来た行動――落ち人への口付けである。
落ち人が自身の首を押さえていた象牙色の細い手首を掴んで引き剥がすと、縋るように濡れた黒い瞳と目が合ってユリウスは全身が粟立ったかのような感覚に襲われたが構うことなく口付けた。
「んくっ?!!」
落ち人は驚いたようにビクリとしたが、ユリウスの確認するようなただなぞる様な口付けに次第に黒い瞳を蕩けさせ迎え入れる様にその唇を開いた。
それに誘われる様にユリウスが舌を差し入れると吸い込む様に絡め取られ今度はユリウスが驚いた。
「っ……ぅん……ふっ」
しかしそれも束の間、神からの恵みと言われる落ち人との口付けは甘く、微かな痺れを伴ってユリウスの快楽を目覚めさせはじめていた。
(なんだ……このかんじは……?)
甘い痺れが身体の中心に向かって行き、脳が溶けたように何も考えられなくなりそうな初めての感覚は、ユリウスを戸惑わせ微かな恐怖を芽生えさせた。
しかし、時折交差する落ち人の視線に微かな抵抗は絡め取られ、されるがままとなってしまう。
(美しい……女だな……)
日本人からすれば中の上程度の落ち人であったが、ユリウスが見たこともない象牙色の滑らかな肌は水仕事や畑なんて無縁そうで――先程から微かに香る花のような香りも、ユリウスへの劣情を隠そうともしない貴族の女達のものと違いいつまででも嗅いでいたい気にさせられる。
少し布が少なく感じる服から伸びた脚も、女性の脚をはじめてみるユリウスを確かに興奮させていた。
(これが……神から与えられる、という事か……)
落ち人は、この世界で最も相性の良い者の元へと来るらしいとの記述もある。
裏を返せばこの女も、この世界で一番にユリウスが魅力的に映っているのだと言うこと。
「くっ……!」
その考えに至った瞬間、身体の中心に痛みが走って思わず唇を離した。
ユリウス自身、感じた事がない程にソコが硬くなっている。
「失礼します」
「は……?!」
痛みをやり過ごそうと固まっていたユリウスは反応が遅れた。
落ち人の女は、固まっていたユリウスを他所に一言そう言うとユリウスの上着を捲りあげ、下肢の穿物を手際よく下げぶるりと顔を出したユリウスのユリウスを取り出すとソレを
――口に含んだ。
「ぬあ?!!!」
経験のない事に思わずユリウス自身発した事の無いような声をあげた。
神殿の教本にもこんなものは書かれてなかった、性器をそのまま口に含むなど!
ユリウスはパニックに陥っていた、が、それと同時に限界近いほどの興奮もしていた。
爪の先から頭の一本に至るまで己の劣情を煽ってやまない女が、ユリウスの卑しい肉を口に含んで顔を歪ませているその様が、信じられないほど彼を興奮させていた。
「はっ……っ!」
ユリウスはその美しい顔に玉のような汗をかき、長い銀髪を貼り付けて震えていた。
瞳は生理的な涙で濡れている。
彼のファンが見たらそれだけて失神間違いなしの色気である。
そんなユリウスを見つめながら彼の肉棒を口に含んで形を確かめるようにモゴモゴと動いていた落ち人は舌技を開始した。
カリ部分を円を描くようにべろりと舐めたかと思えば亀頭の割れ目に舌先を押し付け右へ左へと小刻みに揺する。
裏側を舌全体で上下に何度も行き来したかと思えば限界までユリウスを含んで喉でゆるりと先っぽを締め付け極上の快楽をユリウスに与えた。
「くっ……う……っ」
あまりの気持ちよさに身を委ね、油断したその時に根元から吸い上げられ、驚いたユリウスはそのまま彼女の口に欲望を爆発させてしまった。
「っ!なんてこ……?!」
慌てて彼女を引き剥がそうとした時、ユリウスはユリウスを口に含んだままの彼女の喉が上下したのを目の当たりにして固まった。
「すごい、これならいくらでもいけるわ」なんていいながら口の端に付いたものまでペロリと舐めて確かめるように飲み込む彼女を見て再び硬く勃ち上がったユリウスのユリウスを見た彼女は嬉しそうに微笑んで――
「次はこっちで」
と言いながらユリウスの上に跨った。
「っあ――何これぇ……すごぉい、キモチいいんっあっ」
布の少ないスカートを穿いたまま、下着と思われるものを横にずらしてユリウスを限界まで咥え込んだ女は無邪気に感じ入った声を上げて好き勝手に腰を振りだした。
一方ユリウスは呆気なく失った純潔よりも自分の肉に吸い付くように蠢く雌の穴に衝撃を受けていた。
蠢き吸い付き、上下に出し入れされ、一度に味わえる快楽の限界を優に超え全身痺れが走り続けるその感覚に簡単に溺れて身体の制御が利かない。
「すごいぃ、カリ首引っかかってゴリゴリってっあっ!おっき……いっんん!」
「まっ待て!駄目だ!出るっ……出てしまう……からぁ!」
「ええ?」
一方あまりの気持ちよさになりふり構わず首を振って制止の声を上げるユリウス、しかし次に彼女は言った。
「でもぉ、出してもさっきみたいに直ぐに復活するんでしょ?――んっ!絶倫さんかな?っは!何度でもイケるなら出ちゃっても関係ないっしょ?」
「しっしかし!それでは子どもが?!」
「え?大丈夫大丈夫!お兄さんみたいに綺麗な子どもだったら何人でも産んであげるよ?」
「んあっ?!!」
彼女が「産んであげる」と口にした瞬間、本能が喜んだかのように唐突に爆発した。
突然の事過ぎてユリウス自身、唖然としてしまっている。
一方、彼女の中は吸い上げ吸い尽くすように伸縮を繰り返している。
「あ――あったかぁい……中出しってぇ気持ちいいんだねぇ……?」
まるで酔ったかのような声音で彼女が語りかけるも、驚き固まっているユリウスには遠く、無視されたような形となった彼女は少しムッとしておもむろに上着を脱いだ。
「ジャケット皺になるから嫌だったんだけどぉ、もういいやぁ。シャツは前だけ開けとこうかなぁ……ねぇお兄――神官様だっけ?神官さまぁ?」
「っ!――な?!」
『神官』という聞き慣れた呼び名にハッと我に帰ったユリウスの目に飛び込んできたのは、レースのあしらわれた
――乳房だった。
「な?!あ――は?!」
「あはっやっぱりおっきくなったぁ。男の人はおっぱい好きだもんねぇ、あんまりおっきく無くてごめんねぇ――?」
そう言いながらユリウスの手を取り自身の乳房に触れさせ、自分は好きなように腰を揺らしはじめる。
ユリウスはあまりの柔らかさに驚愕し凝視してしまい、思わず指先に力がはいり揉むとそれにも落ち人は嬉しそうにユリウスへ微笑みかけた。
(彼女は――もしや落ち人などでは無く女神なのか……?)
ユリウスにとって彼女はあまりにも慈悲深く感じられた。
落ち人の中には突然の接吻に対して声を荒げ、それまで自分のいた世界と異なる世界にいるのだと知ると発狂した者もいたと聞く。
「なぁに?考え事?」
「え……な?!」
思いに耽っていたところ、視線をあげたその先には先程の美しいレースが取り払われた乳房がユリウスの目前に迫っていた。
「ね、たべて?」
「は?!」
「吸って、ちゅうって。切ないの」
「んむ?!」
「あんっ」
口を開いたところに乳房が押し付けられ、その先端を思わず咥えてしまった。
ユリウスは目が眩む感覚を覚えた。
(なんだ――これは……?この舌触りは、柔らかさは)
プツン、と、何かがキレたような音がした。
「あっ大っきく?――やん、あっ激し――」
気がつけばユリウスは彼女の背中に腕を回して引き寄せ、先程よりも欲望を大きく硬くしながらカクカクと腰を振り夢中でそれを舐めしゃぶっていた。
(こんなに心地よい舌触りの物を他に知らない――)
(――柔らかい)
「やんっ――あっああン!そんな、腰揺すっ?!ああ――」
下は一度ユリウスが出したものと彼女の感じた証でグチュグチュと卑猥な音を立て続け、乳房にしゃぶり付くユリウスの口からも絶えずチュパチュパと聞くに耐えない音が響き、普段ユリウスが執務をこなしている筈の部屋中に情事の匂いが立ち込めた。
「イッ、あ……イッてる、のっお!アアッそんな」
「ま、たぁ……おっきくなったァ」
「あっあっまた!また中出し……っ!きもち、いい――んん!」
「そんなっ吸ってもオッパイ、でなっからぁ!」
「あっあっあっすご!奥、でグリグリ、しないでぇっ」
「まだ、出てるぅ……びくびくって、あ……」
落ち人である女はユリウスに好きに揺さぶられしゃぶられ、なすがまま口も目も半開きにして意味を成さない声を、唾液と愛液を漏らし続けている。
いつの間にか押し倒される形になっていて、ユリウスに足を掴まれてまるでモノのように扱われている事を彼女は恍惚としながら受け入れていた。
妙子はもう何度注がれたのかわからない。
それでもカクカクへこへこと腰を揺らされ続けるその拙い腰の動きさえも妙子を大いに興奮させた。
「も、お腹いっぱ……ア!」
「――……っ、――」
――――
――
――ユリウスが気付いた時、女は彼の頭をゆっくりと撫で、何がしかの唄を呟くように歌っていた。
ただ口に含むようにしていたらしい乳房の先端を離し、ゆっくりと見上げると、女はユリウスを優しく抱き彼の髪を梳くように頭を撫でると
「――気が付きましたか……?愛しいひと」
優しく微笑みかけた彼女を見て「女神……」と呟いたのは殆ど無意識で、仕方ない子どもに微笑みかけるように優しく笑った彼女は
「妙子、私の名前――あなたは?」
と、言うから。
――ああ、私は……彼女の名前も知らずに。
そう胸が締め付けられて、でも言いようのない幸せを胸に一言
「ユリウス」
と、呟くのが精一杯だった。