あまりの息苦しさに半分意識を失いかけていた妙子は、目の前の美しい男に口付けをされているのが自分だと認識した瞬間、意識を浮上させた。
(夢にまでに見たファンタジーいけめん?!)
「っつ?!んあ?!」
そう思った瞬間、遠慮がちに差し込まれた舌を吸い上げる様に絡め取ると何故か呼吸がより楽になったような気がした。
(いやいやいやいや、そんな事よりも逃すまいよこのイケメンを!)
「んっあ……ぅく……ふぅっ?!」
お気付きの方もいるかも知れないが、先程から喘がされているのは妙子では無く美しいかんばせと銀髪を持った男の方である。
(あ、やだぁ……なんかあったかいの当たってるなって思ったけど、これ、ちんこじゃない?え、このイケメンってば私とチューしただけで勃っちゃったの?!何それ可愛くない?!すっごい興奮するんですけど?!)
妙子は脳内が少々お下品な女性だった。
(呼吸……は、なんとか出来てそうだけど?顔と見た目年齢に合わないこの初々しい反応は?)
妙子はそこまで考えて彼の服を流し見た。
(――あの女神様が言ってた事が本当なら……ここは異世界で、目の前にいるこの男性は神官って事だったけど……?もしかしてマジに本気だったりするの……?あ、てか本当キス気持ちいい、美味しい、かわいい)
妙子は夢中で目の前の男とのキスを味わいながらこの世界に来る直前の事を思い出していた――
「え?死んだ?」
「はい、死にました。なので、あなたの兼ねてからの願いを叶えるべくこうして私自ら貴女を迎えにきたのですよ」
見渡す限りの青空と気持ちの良い風を感じながらも、山口妙子は自分が雲の上に立っているという非現実に彼女なりに困惑していた。
彼女は先程まで自宅にいたはずであったのだ、花金にもかかわらず週末の休みをなんとか奪われんとサービス残業までしてやっとの思いで帰ってきたところだった。
(週末は一歩も外には出ずにお気に入りのファンタジー映画を流しつつひたすら小説を読み漁るつもりだったのに……)
「せめて死因とか?」
「その辺はちょっと聞いてないわ、ごめんね」
まったく済まなそうに見えない笑顔でそう言った自称女神は、妙子を送るという異世界の説明をしはじめた。
曰く、妙子がよく読んでいるような『なんちゃって中世ヨーロッパ剣と魔法のファンタジー』な世界で、人間の他にも様々な亜人が存在するが、妙子は人間の国――神殿に送られるという。
「なんで神殿?」
「あら?だって貴女『神官萌え』あるでしょう?」
「話がわかりやすくて逆に不安になる女神様だね?」
「うふふ、よく言われるわ」
妙子が行く事になるアントワールという世界は、女神から異世界に送られる人間を『落ち人』と呼び、扱いに関しても精通しているという。
「扱い?」
「別の世界だもの、その世界に定着する為には現地の人間と魔力を融合させて定着させなければならないのよ。その辺はしっかり教育してあるし、しかも貴女の相手は信心深くて勤勉な神官長だからまず大丈夫よ!」
いまいち要領を得ない説明だけれど大丈夫と言うからには大丈夫なのだろうと思ってしまう妙子だったが、この思考は詐欺に騙されやすい人間の思考なので褒められたものではない。
「貴女ずっと言ってたじゃない?銀髪美形の神官長とちょめちょめしたいって!」
「ちょめちょめって!最近は聞かないね?!」
なんだか妙にノッてきた女神に少し引き気味になった妙子だったが、まあ、ちょめちょめしたいのは事実である。
「ウチの神官長と貴女!二つの世界を照らし合わせた時、奇跡的な相性の良さなのよ!だから貴女をツガイとして彼の元に送るから!彼の事、よろしくね!」
「え、は?!ツガイ?!どう言う事?!」
「貴女の国にもよくあるわよね?『出会って即合体』とか『即挿入!』とか、定着させるには一番手っ取り早いから、がんばってね!」
そんな言葉を最後に妙子の世界は暗転したのだった。
気付いた時には窒息しそうに苦しくて死ぬかと思った妙子だったが、気付いたら凄まじい美人に口付けられていてうっかり盛ってしまった。
(だって可愛すぎる!こんなに綺麗な男がチューだけで勃っちゃってるんだよ?!これで興奮しない女とかいるわけ?!)
そして頭を過る『即挿入』の言葉。
既に妙子のアソコはヒクヒクと彼の肉を欲している。
……うん。
「いただきます」
妙子は即断で彼の禁欲的な神官服に手をかけた。裾の長い上着を掻き分けてパンツの紐を解き、中から彼の肉を取り出した。
――綺麗な色……かわいい
嫌悪感どころか愛しさを感じたソレをパクリと口に含むと思わずウットリとしてしまう。
彼の匂い……堪らないわ。
んぐんぐっと舌と上顎で挟み包み吸い付く。
彼が何事か言っているようだけれど、嫌がっている感じはしないのでそのまま続ける。
妙子の花は既に蜜を垂らしていて、着々と彼を受け入れる準備は整っていった。
ずっとこうしていたいけど、早く入れたい、そんな矛盾した気持ちの中、妙子は舌技を開始した。
カリ部分を円を描くようにべろりと舐めたかと思えば亀頭の割れ目に舌先を押し付け右へ左へと小刻みに揺する。
裏側を舌全体で上下に何度も行き来したかと思えば限界まで彼のペニスを含んで喉でゆるりと先っぽを締め付けると、思わずと言ったように彼の腰が跳ねて愛おしさでいっぱいになった。
妙子の感じて欲しいようにそのまま感じてくれるこの目の前の男が可愛くてしかたない。
イッていいのよ……?
そう、言葉では無く彼のソレを強く吸うことで伝えた時、白い飛沫が妙子の喉に叩きつけられ、妙子はそれを迷う事なく飲みくだし、一滴も残すつもりがない妙子がその後も優しく吸い付いていると、再び力を取り戻していく彼に嬉しくてたまらなくなる。
「すごい、これならいくらでもいけるわ」
脳が美味しいと感じている。こんな事ははじめてだった。
もう妙子は限界を感じていた。
射精した直後から腰が抜けたのかズルズルと床に崩れ落ちるようにして座り込み、肩で息をしている目の前の男が愛しくて仕方ない。
長く美しい髪が乱れてハラリと目にかかるさまにも堪らなく情欲を唆られる。
スカートの中の下着をズラすだけで一言、困惑しているような目の前の神官様ににっこりと笑って言った。
「次はこっちで」
「っ?!」
彼の返事を待たずに妙子は彼の肉棒を手で支えると、自身の濡れそぼった欲の穴に宛てがうと、ゆっくりと味わうように腰を沈めていく。いや、味わわざるを得なかったのだ。
っ――なにこれ
一ミリ一ミリ進める度に甘い痺れがつま先まで広がっていく。
穴はジンワリと優しい快楽を与えられた悦びにヒクヒクとその快感に歓喜をあげていた。
まだ入り口だというのに既に子宮には彼の雄を迎えられる悦びに震え小さく鳴くような快感が断続的に生まれている。
こんな、気持ち悦過ぎて……挿れられない、なんて……ああっきもち……きもちいいよぅ……
小刻みに震えがくる程の快楽の波は逃し切る事が不可能で、時折目の前に火花が散るような感覚に襲われた。
これか……相性が、いいって……こと……?
妙子は堪らなくて「ふぅ……ン……」という呻きのような声しか出せない。
一方、神官の男も顔は横に逸らしながらも見ずには居られないのか、瞳を濡らしながら快楽に眉を寄せて挿入されて行く様を震えながら見つめていた。
それに気づいた妙子の欲の穴が男の肉を食むようにキュンキュンと食い付く。
「っくぅ!」
「あんっ」
首を無防備に反らした彼のその喉に、妙子は思わず食らいつくように吸い付いた。
「あアッ!?」
「んん――ッ!」
その反動で勢いよく最奥に到達したその時――妙子は彼の喉に食らい付きながらも、口の中で「キュふっ!」という自身でもどうやって出したのかわからない小さな悲鳴を上げて、彼のあずかり知らぬところで一度イッた。
ガクガクと震える妙子の腰と、その反動で男の肉棒の頭が、最奥にある妙子の子宮口をこじ開けるようにグリグリと擦り付けられて、それがまた新たな快感の荒波を立てていく。
既に降りていた妙子の子宮は彼の亀頭との逢瀬に震えている。その頭に触れた場所から温かさと悦がじわじわ広がって、妙子はその快感に泣きそうになった。
「っあ――何これぇ……すごぉい、キモチいいんっあっ」
捉えた快感を逃すまいと、勝手に腰が揺れはじめた。
妙子の穴と美しい目の前の男のソレは、成る程女神が言うだけの事はあって隙間なくギッチリと嵌っている。少し彼の物が太くあるのがまた快感を得るのに最高の相性と言える。
やがてカリ首が最奥に引っかかったのかゴリゴリと響く凶悪な刺激が妙子を襲ってきた。
「すごいぃ、カリ首引っかかってゴリゴリってっあっ!おっき……いっんん!」
「まっ待て!駄目だ!出るっ……出てしまう……からぁ!」
「ええ?」
それまで、彼の矜持だったのか唇を噛み締めて快感に耐えて言葉という言葉は交わさなかったと言うのに、耐えかねてと言ったようになりふり構わず叫んだ声に妙子は驚いた。
美しく長い髪は頰に張り付き、長い睫毛を涙に濡らした男が懇願とも取れる縋るような目で妙子を見ている。
(たまらない――!)
妙子は興奮し過ぎておかしくなりそうだった。
こんなに美しい男の、こんな表情を、他でも無い自分が引き出しているなんて――
そして妙子はまるで聖女か女神かと言う慈悲深い笑顔をたたえ、彼に微笑みかけて言う。
「でもぉ、出してもさっきみたいに直ぐに復活するんでしょ?――んっ!絶倫さんかな?っは!何度でもイケるなら出ちゃっても関係ないっしょ?」
快感の渦に呑まれそうになりながらも、美しい男は妙子の言う事を理解したらしい、泣きそうに顔を歪めながら鳴き声に近い声を上げた。
「しっしかし!それでは子どもが?!」
――何?そんな事?、と、妙子は思う。
「え?大丈夫大丈夫!お兄さんみたいに綺麗な子どもだったら何人でも産んであげるよ?」
そう、妙子が言い終わるか終わらないかと言うタイミングで男が下から突き上げるように腰を跳ねさせ悲鳴をあげた。
その瞬間、妙子の中に広がる熱い飛沫。
妙子は女の幸福感と快楽を同時に味わった。
「あ――あったかぁい……中出しってぇ気持ちいいんだねぇ……?」
妙子は変態的ではあるものの、身持ちは堅い女であった為に中出しは初めての経験である。
自分が子を産んでも良いと思える美しい男からの子種でこんなにも多幸感に包まれるものなのだと、感動を分かち合いたくて目の前の彼に話しかけたのに、自分に欲を放った目の前の美人は目を見開いて固まっていた。
少しムッとする妙子。
自分を見てもらえない事に腹が立って気付いた時には上着を脱いで乳房を彼の目前に押し出していた。
「あはっやっぱりおっきくなったぁ。男の人はおっぱい好きだもんねぇ、あんまりおっきく無くてごめんねぇ――?」
今度こそ自分を――まあ、主におっぱいだけれど――見てくれた事に気を良くした妙子は、心ここにあらずと言った彼の様子も「考え事?」と言うだけに留め、ブラを外した胸……いや、乳首を彼の口に押しつけるように差し出した。
前の世界では抱き合うどころか言葉すら交わせないであろう美貌を持つ彼におねだりしてみる。
「ね、たべて?」
「は?!」
「吸って、ちゅうって。切ないの」
「んむ?!」
「あんっ」
彼の形の良い唇に食まれただけで電気が走るように快感が全身を駆け巡った。
食んだだけで一瞬呆然としたように固まっていたのも束の間、突然、夢中でむしゃぶりついた。
そして、復活し始める彼の欲望。
「あっ大っきく?――やん、あっ激し――」
妙子は胸を舐め回されながら、押し倒されるかたちとなって、目の前の美しい男に初めて翻弄される事となった。
美しく長い髪が妙子の身体を這い回り、形良く禁欲的に引き結ばれていた唇は妙子の胸の飾りを好きにした。
吸い付き、口の中では先端をチロチロと舌先が弄ぶ、もう片方の乳房は鷲掴まれるように五本の指が妙子の快感を引き出すように揉みしだいてきた。
肉棒は妙子の一番感じる場所をを断続的に叩いて来て、下半身は甘く痺れるばかり。
脚の力も入らないほどに快感に塗りつぶされていた。
それは妙子がイッてもお構いなしに続けられ、何度も白濁を流し込まれては幸せな気分になってしまって妙子の身体は快感に支配され、人形のように弄ばれ支配された。
(すごい……こんなに、夢中で求められるなんて……あっ……キモチイ――)
その行為は、妙子の中がタプタプになってもう入らないと思ってもなお続いたが、妙子は流し込まれるたびに快感を享受し、美しい男が自分に夢中になる様を悦んだ。
そういえば、私はまだ彼の名前も知らない。
彼が正気になったら、優しく胸へ抱きしめて聞いてみよう。
妙子は、この愚かなほどに自分に溺れてくれる美しい男の名を想像すると、また一つ快楽の種が弾けた気がした。