異世界行ったらインキュバスさんと即えっち!4

 パチンと、ラウロが指を鳴らしたその時、優香は見知らぬ場所で目が覚めた。

「え…… 」

 先程までの激しい行為の跡が無くなり、何人もいたラウロは優香の上に一人居るだけだった。

 艶めかしい美丈夫では無いボサボサの髪の毛の隙間から、ただ優香を見つめる汗をかいた地味なイケメンがいた。

 優香の身体には甘い余韻があったけれど、辛さは無かった。

 半精神世界で『優香の欲望』を夢見せていたラウロは、回復魔法や洗浄魔法を絶妙な加減で使っては現実世界の彼女の生身をケアしていた。

 この並列思考能力もインキュバスには当たり前に備わっているものだ。

 しかし、いつものように冷静に淡々とこなす事が出来ず、優香の痴態に煽られたラウロの負担は彼が経験した事の無いものだったのだ。

(は……挿入ってる…… )

 ――そう、思わず現実世界でも挿れてしまう程には。

 夢魔にとって現実世界の行為は補助的なモノに過ぎない。半人前の夢魔ならまだしも、種族の中でも抜きん出た実力を持つラウロが、こうして生身に触れてる事自体がありえない事だった。

 突然訪れた現実に戸惑ったのも一瞬のこと、図書館にいたところであれよあれよという間に溺れた官能の時間は、優香にとってそのまま夢のような時間だったのだが、フッと現実にかえり、そして先ほどまで自分にこの世界の説明をしてくれていた青年のイチモツが『気がつけば』挿入されているというこの現実にはだいぶ『クル』ものがある。

「――ッ……優香? 」

「ち、違うんです! 身体が勝手にっ……あの……きゃあっ?! 」

 きゅんと中を締め付けてしまった優香と、その刺激に我にかえったラウロ。

 ラウロはお返しとばかりズンッと腰を限界まで押し付けた。

「あっ……あぁ……はふっ……ぅ…… 」

「なるほど……起きている女性を相手にするのは初めてだけど―― 」

「きゃあっ?! う、うごかなッ……アンッ?! 」

 ラウロは優香に覆いかぶさると、その胸に彼女を抱いて猛然と腰を打ち付けはじめた。

「やんっ!きゃ、あっああっ?! 」

 先ほどのように夢に浮かされたような、麻酔でも効いているのかと言うほど何の痛みも感じなかった時とは違って、優香の入り口にはどこか痛気持ちいいといった甘くも強い刺激が生まれていた。

(何これさっきと全然違……でも、すごく気持ちが悦―― )

 優香がそこまで思考した時、ラウロは彼女の腕を自身の肩へと回させグイッと彼女の上体を乱暴に起こして対面に座らせた。

 そして――優香を逞しい胸に力強く抱きこむと、怒涛の勢いで突き上げた。

「ごめんね、優香……少し、我慢ッして! はじめてだ……こんな――アァッ気持ちが悦い――――!! 」

「きゃああっ?! 」

 さっきまでの余裕ありげな大人の男がいなくなった。下から優香の中心をガツガツと貪り出したラウロに、優香は身体が浮くほど叩きつけられては自重で落ちるという何も抵抗出来ない状態にさせられた。

「きゃっ!あんっあっあっあんっアッアァッ?! 」

『ああ凄い……こんなのははじめてだ……この俺が……こんな……あぁ――優香、優香、優香、優香―――― 』

 突然ラウロの思考が優香に流れて来て、この能力は現実世界でも使えるのかと言う焦りと、その内容に優香は恥ずかしすぎて目を白黒させながらパニクった。

「アッ……の、ラウロッ?! 」

「……どうしたの、優香? ッア……クッ…… 」

『なんだろう優香、驚いた小動物のような表情だ……可愛いな、ああ……また硬くなってしまった……もっと、もっと君が欲しい―― 』

「え、えええっ?!! あんっ?!アッ、アッ―― 」

 どうしたのと、囁いた甘い表情のままでとんでもない思考が優香の頭に直接流れて来て優香は目を剥いた。

「どう、しても……辛かったら、ァッ……言って 」

 優香を縋るように見つめた地味イケメンは、優香の首筋に顔を埋めた。

「ン――ァンッ…… 」

 その時、彼の鼻と唇――それから髪の毛が首筋に当たって、とても気持ちがよかった優香は一瞬先ほどの彼の思考を忘れかけ……

『でも無理かな……めちゃくちゃに貪りたい――落ち人……ツガイ、運命の相手……半端ないな、可愛すぎてめちゃくちゃに犯したくなる 』

「ひいいいいっ?! 」

 あまりの言葉に悲鳴を上げた。

(も、もしかしてラウロ……コレ、私が聴こえてるってわかってない……? )

 そうだ、わかっていたなら彼はこんな失言はしない。

 コレは優香に淫魔であるラウロの魔力回路を構築してしまった影響から聞こえたものだった。

 精神世界を支配する淫魔の能力の一部が、その身を繋げた為に発動してしまった。優香はラウロの心の声が一方的に聞けてしまう状況に陥ってしまったのだった。

(あわわわっどうしようっ……私、ラウロに無茶苦茶にされちゃ――)

『――でもダメだな、しない……自分本位な行為はこの娘を傷付けると、俺は知っているのだから…… 』

 ――あれ?と、雲行きの変わった彼の心の声に優香は耳をそばだてた。絶賛激しく貪られている最中ではあるのだけれど。

『女神セレスは、俺なら優香に女の悦びを教えられると……だから彼女をツガイとして遣わせたのだろう……なら、俺は今まで通り「仕事」の時と同じように、優香の快楽をただ引き出す駒に徹しなければ――優香は愛想をつかせるだろうから…… 』

 スッと、心なしか抽送が激しさを無くして、優香の悦い場所を淡々と――しかし、絶妙な加減で押し上げる動きに変わって、優香の全身がぶるりと震えた。

「アッ……ぁ……ァ、ァアンッ! 」

「可愛い優香……気持ちが悦いね……? 」

『可愛い……本当に可愛い子だ、出会った時の控えめな雰囲気とはまるで違う。それにあの欲望の数、俺だけがこの娘に全てを与えられる……それだけで十分だ―― 』

(違う、そんなの違う! 待ってラウロ―― )

「ほら、君はここも好きだろう? 一緒にしてあげる 」

「きゃあん?!ちょ、違っ…… ま、待ってくださっ……ラウッ――アァッきもちぃ!! 」

(いや違う本当に待って!ラウロ、も、だけど主に私!! )

 ラウロはカリ首を優香の奥に引っ掛けてゴリゴリと刺激しながら、恥ずかしげに顔を出した彼女の豆をくにくにと絶妙な加減で可愛がりだした。

「ァンッ……や、あっ……ああっ、きもちいの、きもち……の、だめぇ……ァッ……あー…… 」

 ――コリッコリッコリッコリッ

 ――ふに……ふにふに……くりゅっ……

「そう、きもちがいいの? ほら、俺によく顔を見せて……気持ちよくなって、だらしなくなってしまった君の表情を……そうだな、もう一度夢の中で愛してあげようか? 」

 ――こりゅごりっ……こりっこりっ……

 ――にちゃっ……ちくちく、くにっ……

「ち、がうの……らうっらうろ!がぁ―― 」

「うん? 俺が、どうしたの……? 」

「らうろがっ……きもちよく、なっ――てぇ? 」

『――え……? 』

 再び予想外の事を言われ、ラウロの動きと思考が同時に止まった。